DULL-COLORED POP vol.13 『アクアリウム』

月: 11月, 2013

稽古場レポート第十五回 – 11月26日

『アクアリウム』の稽古場レポート、第十五回をお届けします。
(目下『アクアリウム』について耳寄りな情報が公開されていますので、そちらもよろしくです。 →『アクアリウム』情報公開第3段!! http://ow.ly/r7V4g

残り時間との戦いになってきた26日、この日はまず舞台監督の鈴木拓さんから本作『アクアリウム』の舞台説明があり、どのような舞台装置、どのような出捌けになるかを或る程度俳優陣が把握した上での、冒頭からの返し稽古です。谷演出曰く、今後通しは何度もやるだろうけれども、前半を細かく当たるのは今日を含めてあと幾度かだろう、とのこと。

公演が迫ってきた上での返し稽古。なんというか、立ち稽古は今までにもやって来ていたわけですが、今日の谷演出はこれまで以上に脳みそをフル回転させ、「フィックスできるところはガンガン決めていきます」という勢いで、あいまいなままになっていた動線、立ち位置、小道具の移動、身振り、仕種、間、動き出し、視線、科白の出始めのタイミングなどを逐一決断し、指示していきます。その決断は迅速で、事前に演出プランが頭の中にあるだろうとはいえ、その場の思い付きで数パターン試したり、俳優がちょっとやってみたことを即採用したり逆に即削ったり、その間谷演出が考え込む時間は30秒〜1分程度、とにかくもの凄いスピードで役者の動きが次々と整理されていく。ぼんやり見学していると置いていかれる速度で。まるで早指しの将棋を観ているかのような。「『……』の科白はもうちょっと待った方がいい」「普段の一番ゆっくりのさらに半分の速度で歩いてくれる」「そこ、下手から動かなくていい」「もうそこで雑誌取って読んじゃおう」「相手の笑いが終息してから3拍待ってくれる」「上手ソファに坐ったら部屋全体を眺めまわしながら喋ってくれる」「『……』の科白を喋るまでは真ん中に居て、それを言ってから寄って行って」「僕がキュー出すタイミングで大原さんだけ入って来て」「この科白を言い出す間を決めよう。7秒」「『……』の科白で●●は一旦積み木遊びに戻ろうか」「そこで、自嘲気味の笑いでリアクションしてくれます?」「『……』の科白で、紙皿とコップをみんなに配って」「そこは台本の行通りに進むんじゃなくて、ちょっとエチュードっぽく、それぞれみんな口を挟もうとしてみて」……

そのめまぐるしさに従いて行くのには、一見学者の立場では限界がある。想像するに、おそらく谷演出の頭の中で現前的効果に関するメリット・デメリットの計算が瞬時に行なわれて、「ここで2・5拍間を取ったらどうなるか」「ここで動線を減らしたらどうなるか」「ここでAが相手に振ってみたらどうなるか」「ここでBのポジションを下手の椅子に変えたらどうなるか」という変化の結果をほぼ確信した上で、おおむね望みどおりの効果が得られればばちばちフィックスさせていくというふう。印象に残っているのは、或る人物Cが別の人物Dに対して真顔で「おはようございます」と言う局面で、その人物Cの顔を客席に見せるかどうかを試行錯誤したとき。最初はCの真顔が見えていた方が面白いだろうということで、動線を大きく変化させてDが下手前に、Cが上手奥に回るようにした。でも、もう一度Cが下手前で客席に背を向けているポジション(動線としてはこちらの方が自然)でやるのを試してみて、結局こちらの方で確定させました。理由は、「やっぱり表情を想像させた方が面白いから」。この確定のためにも谷演出はほとんど長考していません。

もう一つ印象に残っているのは、人物Eがその場に集まっている人達に向かって一つの科白を喋っているときに、他の人物がその内容に思い当たって、各々反応するようにと指示されていた、局面。前日までは「Eの科白を聞いているうちに何か気づいたというふうに、各自リアクションしてください」という自由度の高い指示に留まっていましたが、この日は、それでは得たい効果にとどかないと考えてか、谷演出はその場のひとりひとりに、「Fはこの科白の出だしで振り返って」「Gは科白がここまで来たらのけぞって」「Hは科白が終わったら他の人の顔をちらちら見て」という具合に、リアクションのパターンとタイミングの指定を行なった。得たい現前的効果のためには決められるところは細かく決めていく。このときも、思い付くまでに長く時間を掛けたりしていないし、指示は一度で確定して稽古はどんどん次の局面へとつづいていきます。

もちろん役者の動きの確定だけではなく、科白のニュアンスへのダメ出しなどもまだまだ厳しく行なわれる。稽古日あと数日でどこまで完成に近づくのか。置いていかれないようひきつづきレポートできればよいのですが! 次回のレポートにつづく。

【今日の一枚+α】
一枚目。テーブル上の小道具を確定させるために全員でディスカッション中。「●●がつまみ食いするには何がふさわしいか」を真剣に議論したりします。
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二枚目。稽古場前の黒板を使って、俳優にダメ出しのイメージを理解させるべくチョークで図を書く谷演出。「何か複雑な想いがあって『俺はビルを見てる』の科白が出てくるんじゃなくて、この複雑な想いをこっち(と矢印を描く)に持ってきたいな。パッと『俺はビルを見てる』の科白が出たあとに、その意味についてうにゅうにゅうにゅって考えてるみたいだと、いい」。
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三枚目。通し稽古中に他の人の科白ミスをチェックしてメモしている百花亜希さん。この日は別用で演助の元田さんが稽古場に居なかったのに代わり、自分の出番がないときにこのように率先して現場に貢献します。
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INTERVIEW – 中林舞さん

つづいての『アクアリウム』出演者インタビューは、2013年のDCPOPワークショップ・オーディション(東京)に参加し今回出演となる、2012年9月に「快快」を退団して以後、フリーの役者/振付師として活動中の、中林舞(なかばやし・まい)さんです!

────中林さんは4歳〜18歳までクラシック・バレエをやってらして、多摩美術大学在学中に「快快(ex.小指値)」を立ち上げ中核メンバーとして活動。2012年に「快快」を退団して以後はフリーの役者になり、同時並行で振付師としての仕事も精力的にやってらっしゃるという……非常に特異な経歴をお持ちだと思うのですが、まずは「快快」退団前後のことを語っていただけるでしょうか。
中林 「快快」を退団した理由というのはいくつかありまして、、
 一つは「快快」っていうのは近年海外公演が多い団体になってきていたんですが、逆に、私は近年になって日本で舞台の仕事をしたいと思うようになってきて、興味のある演出家の方や、俳優さんと巡り会う中で、そういう方々とお仕事をしたいという願望が自分のなかで芽生えたときに、海外公演で長く拘束されてしまうということが、ネックになったんです。
 自分が興味を持っている方々と仕事できるチャンス が、海外に居て流れてしまった時に、自分は本当はどうしたいのかっていうのをよく考えて……やはり私は日本で仕事をやっていきたいし、日本で興味ある方々とどんどん仕事して行きたい。という答えが一つでました。
 また、演出の篠田千明が退団するというのも一つありました。
 それから、「快快」の知名度が自分の名前以上に上がっていく中で、自分が無意識にそれに頼りがちになっているなという危機感もあり。
 ここは一つ武者修行的な意味でも、「快快」を離れて自立した方がいいと考えたんです。
 元々、0か100かという極端な考え方をする方なので、籍を残すのではなく、一旦離れることにしました。

────今のお話だと、中林さんのなかで本格的に役者をやっていきたいという想いが「快快」の志向とズレてきた、というより、この人とやりたい、あの人ともやりたい、という願望が「快快」に居ては実現できないから、つまり人との出会いや縁を大事にしたいから「快快」の活動から離れたというふうに解釈できそうですが……そういうことでしょうか?
中林 いや、実現できない、ことはないと思いますけど、やはり極端な性格なので、、
 もちろん人との出会いっていうのも大きいんですが……
 さっき、武者修行と言いましたけれど、自立してやっていくための力量をつけたいということ。その想いも大きいんです。
 それはもともと「快快」の理念でもあったと思う。「快快」っていうのはちょっとカテゴライズしにくい集団で、ダンスする集団とか、演劇集団とか、アート集団とか、さまざまな捉えられ方をされるところがあり、実際色々な思考をもったメンバーで構成されていて、そこが一つの魅力だと思うのですが。
 だからこそ、そこからそれぞれのメンバーが自立していくってことまで含めての「快快」であるという考えも一つあり。私自身も、一人の自立した、一人でやっていける人物になるべきだ、という想いは、最初から強くありました。

────その、一人の自立したプロフェッショナルになるというとき、選択肢は色々あると思うんですが、とくに中林さんの場合は役者を志したというのは、どういった動機でしょうか。たとえば18歳までクラシック・バレエをやり、大学に入ってからは「小指値」を立ち上げ……という過程のなかにすでに役者への興味が芽生えていたんでしょうか。
中林 ちょっと話が前後してしまいますが、大学に入学したときは、クラシック・バレエについてすごい挫折を経験した直後で、もうダメだな、っていうことでどこでもいいから大学に入ろうって感じで、かなりの急転で大学受験を決めて。舞台とか踊りとかをこの先やっていくだろうという気持は、まったくなかった。でもその大学生活のなかで、現「快快」のメンバーと知り合って、一緒に作品をつくっていくなかで、「演劇」というメディアを選んだという流れです。ほんとなし崩しに演劇というメディアに足を突っ込んだという感じで。
 でも、芝居を愛してる様々な方に出会ったり、素敵な先輩方と舞台を踏ませて頂いたりしていく中で、役者っていうのはほんとうに面白い仕事なんだということを実感していきました。

────そして、中林さんがその、役者としてやっていきたいという意志を強くしていく過程のなかで、谷賢一さんの作品との出会いも、あったわけですね。
中林 谷さんの作品を観たのは『ヌード・マウス』(2012年)が初めてです。
 ヌード・マウスは、凄く新感覚でした。
 演出が個性的とか、役者さんが吐く科白のなかに作家さんの哲学や、生き方みたいなのが感じられて、それが役とシンクロしてすごく感動するとかとは、もうちょっとちがって……
 なんて言うんでしょう……目の前で役者さんが芝居しているものの上に、もう一層レイヤーがあって、そこにタイトルロールのように大量の文献の細かい文字が上から下へバーッと流れていく、みたいな印象を受けて……錯覚なんですけど。役者さんの科白以外に、その科白の背景にあるものすごい文献的な蓄積が字面で見えてくるような、そんな印象がすごくあって、なんかこういうタイプのお芝居を私はあまり観たことないな、と感じて、興味を持ちました。言わば、文字とか言葉とかに重点がすごく置かれているということだと思うんですけど、谷さんの作品っていうのは。

────それで今年の夏に、DCPOPのワークショップ・オーディションを受けられた。
中林 そうです、放っておくと、今までの自分の活動範囲では谷さんとはお会いすることがなさそうだったので、ワークショップを受けようと思いました。実際、『ヌード・マウス』以後も、谷さんとは全然縁がなくて。
 それだから、ワークショップは受けましたけど、出演オファーがこんなに早く来るとは思っていなかった。出会った以上は、いつかはご一緒したいとは考えていましたけど、こんなにすぐにとは思ってませんでした。

────今回、中林さんとしても今まであまり演じられたことのない役を振られていると思うのですが、どういう課題をもって本作『アクアリウム』に臨んでおられるでしょうか。
中林 『アクアリウム』、台本を読むだけでも面白いですよね。面白いので、その文字情報の段階で面白いものを、じゃあ自分がやるってなったときに……その作品の強さに対して、今までの自分のさまざまなものを総動員させて、負けないものを出していかないと、これはもう、惨敗だぞ!……という想いでやっています。

────では最後に、このインタビューを読まれるみなさまにメッセージをお願いします。
中林 魅力的な作品だなあ。と台本を読み演出を受け日々感じてます。
 いつものことながら、、
 その感じているものを、丁寧に全力で体現していきたいと思います。
 劇場でお待ちしてます。ぜひ。

★中林舞さんの『アクアリウム』チケット個人予約ページ(東京公演12月分のみ)
https://ticket.corich.jp/apply/51045/011/
★中林舞さんのtwitter
https://twitter.com/Yasihamaru
★中林舞さんのブログ「役者/振付師 中林舞の活動記録」
http://ameblo.jp/yasihamaru/

INTERVIEW – 堀奈津美さん

つづいての『アクアリウム』出演者インタビューは、DULL-COLORED POP劇団員、ダルカラ創設時からのメンバーでありながら現場ではつねに真直に課題に立ちむかう繊細な努力派、堀奈津美(ほり・なつみ)さんです!

────劇団員の方へのインタビューは、客演の方とは切り口を変えて、今現在語りたいトピックをそちらから出してもらって、それについて掘りさげるというかたちにしています。堀さんのトピックは、「今作『アクアリウム』の特徴」。これは今までずっと谷さんと並走してきた堀さんだからこそのトピックに思えます。
 今回の『アクアリウム』は、なんというか……「気持悪い」作品だなって思います。もっとストレートに悲しい場面は悲しかったり、今までは明確に表現していたと思うんですけど。とくに、『アクアリウム』の台本は、今までに比べてト書きが少なくて、或る人物が舞台から立ち去ったりするのにも理由が分からなかったりして、それ自体もちょっと気持悪いんです。

────ストレートではないというのは分かります。
 なんだろう……今までと比べても、普通の人間の生活に寄り添った作品になっているのかな。生きて行く上でそんなにしょっちゅう事件が起こるわけではないこと、とか。私にとっては、●●と●●のシーンとかも、テレビを夜の八時、九時ぐらいに家で観ているかのような感じで、それすらも何かしら日常に組み込まれている要素のように思えます。私が、別にお芝居やっていないときでも日常的に感じる不安とか、気持悪さとか、別に明日の糧につながるわけでもない出来事とか、そういうのと『アクアリウム』の作風というのは連続している気がする。チャプターごとのカラー、落差というものはあるんだけれど、そういうのを俯瞰して観ると、全体として普通の人間の生々しさのようなものを感じる作品になっている、というか。やっぱり、夜中にテレビを観ているときの感覚に近いかな。日常、ぼんやりテレビを観ていて、ふと不安を感じたり、なんか一瞬ふわっとなったり、不意に凄く抽象的なことを考え始めたりするような。そういう気持悪さ。

────やっぱりそれは、今までの谷さんの作品にはなかったものなのでしょうか。
 なんか、今までの作品ってもっとシーン毎に素直に観れるという印象があったんですけど、今回は、さっき言った気持悪さとか、生々しさとかを、次のシーンのどこかで一瞬はっと想い出したり、何の理由もなく「あれ、さっきの何だったんだろう」とふと考えたりすることがつづいて、最後のシーンまで行っても綺麗に終わったという感じがしない。それはほんとうに、今までにない異質なもののような気がします。

────そういった作品に俳優として参加されて、やはり難しさを感じるところもあるでしょうか。
 うーん。そもそも、そういった作品世界の中に存在することが難しい上に、今回は私がまったく振られたことのないような役をやってるんで……結構、頭の中は忙しない感じになっています。たとえばYouTubeとかを見てみて、店員にキレるギャル、みたいな動画の怒鳴り声を夜中に外で真似して言ってみたりとか……色々試行錯誤して、なんとか近づいていけてるといいな、とは思うんですけれど。ほんとうに、やっぱり自分から遠い人物を演じるというのはそれだけで難しいです。

────今回、稽古場で見ていて谷さんの演出の指示がもの凄く細かいと感じるのですが、谷さんの現場というのは毎回毎回こんなに精密なものなのでしょうか?
 いや、こんなに秒単位でタイミングを決めるとか、そういうことはやったことがないです。或る一場面を、たとえば『Caesiumberry Jam』のゴゴとディディのシーンなどで、凄く間にこだわるということを延々やったことはありましたが、そういうシーンが作品全体の主題に繋がってくるなんて作品は、今までにはなかったはずです。でも、作品『アクアリウム』にとっては、この細かい指示が俳優の身体に馴染んできたところがスタート地点なんだろうと思います。……『アクアリウム』が今までのダルカラ作品にはない面白さを持っていることは、もう間違いないです。

────綺麗にまとめていただいてありがとうございます。では最後に、このインタビューを読まれるみなさまにメッセージをお願いします。
 動物に生まれたかった。そんな風に思うこと、あります。
 うちのワンコみたいにたくさんお昼寝して、ごはん食べて、お散歩してまた寝て。
 でも人に生まれちゃったからには、人として生きなきゃならんのです。
 苦しみだったりもどかしさだったり中にたまぁにある喜びや安堵や。
 いろんなものをこの『アクアリウム』に泳がせながら、皆様のご来場をお待ちしております。

★堀奈津美さんの『アクアリウム』チケット個人予約ページ(東京公演12月分のみ)
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★堀奈津美さんのtwitter
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稽古場レポート第十四回 – 11月25日

『アクアリウム』の稽古場レポート、第十四回をお届けします。
(目下『アクアリウム』について耳寄りな情報が公開されていますので、そちらもよろしくです。 →『アクアリウム』情報公開第3段!! http://ow.ly/r7V4g

貴重な意見と反応とをワーク・イン・プログレスで得て、公演に向けて士気を高める本作の座組。小屋入り一週間前の本日は、稽古時間を目一杯つかって、上演のために必要なプロセスをがしがし消化していきます。

まずは、中盤終わりあたりから終盤入口までのシーンをしつこく返し稽古。シナリオ上、中盤においては明快な対立や感情のぶつかり合いが現われ、演劇的にストレートな面白さがありますが、そこを越えてからは一歩一歩闇のなかを進んでいくような、不穏で精妙な会話のパートがつづきます。そのパートの、まだ俳優のなかでニュアンスの決まりきっていない科白ひとつひとつを、色々試しながら修整を重ねていく谷演出。ときにはそのパートが台本構成上どうなっているかをじかに説明し(「このシーンは、結局Sが抱いているものは何なのかっていうのを全員で延々考えつづけるみたいなシーン。それぞれ考えるスタンスは違って、答えは合うことはないけれど一生懸命考えていくっていう感じ」)、ときにはニュアンスの落としどころを言語化して伝え、ときには俳優自身にその科白が出てくる動機を考えさせて、稽古のなかでシーン全体の密度を上げていく。

そうしてしばらく稽古をみっちりやって後は、衣裳担当のchie*さんが加わっての、衣裳パレード。chie*さん持参の衣裳と俳優各々が持ち寄った衣裳を組み合わせて、各登場人物数パターンある衣裳を確定させていきます。手順としては、単純に着替えた姿を谷演出に見せに行き、コメントを受け、オーケーを貰うまで着こなしを変えるということをくり返す。谷演出の頭の中のイメージに沿うように工夫しつつ、場合によっては谷演出の想像を越えてヤバいアイディアがあればそれを採用し、あるいは確定した後にももう一度別のアイディアを試し、ということを十人分てきぱきやっていきます。「セーターは止めようか」「下はグレーの方がいいかな」「地味すぎる。特にそのカーディガンが」「逆に可愛すぎる」「もうちょっといい加減でもいいと思うんだよね下のズボン」「それだとあまりに東谷自身になる」「ネクタイ真赤の方がいいんじゃない?」「胸ポケットに何か入ってるといいんだけど」「そのジャージを着ながらも可愛く見える、ってできる?」「やらかした大学生みたいな感じだといい。マフラーを変に巻いたり」「それだと普通すぎるんだよな。電車に一緒に乗っても普通に受け入れちゃうよ」等々。

そして18時30分からは、確定した衣裳を着けての、通し稽古(早替えももちろん行なう)。頭から終いまでストップなしの文字どおりの通しを行なった上で、残り一週間の稽古期間でどのパートをどの程度詰めていくか、目処をつけます。まだまだ成立していない局面についての指摘。チャプターごとのタイム感、テンポについての指示。以前ダメ出しした修整が抜けていたところは厳しくチェック。細部をもっと彫琢すべきところについては、俳優自身でも試行錯誤できるようヒントを示唆。そうやって一時間ほどダメ出しを行なった後に、『アクアリウム』という作品を、どういう芝居にしたいかという話も少し谷演出からありました。まださわりの話だけだったので詳述はしませんが、単にオーソドックスに面白いお芝居にしたいというのではないことは、確かな模様。「……そうするためにも、まだみんなに僕がどういうことをやりたいのかっていうことを、喋っていかなければならないと思います。」

この日は舞台監督の鈴木拓さん、照明の松本大介さん、美術の土岐研一さんらも通し稽古を見て、稽古場での打ち合わせも行なわれました。上演に向けてきりきりと準備が整っていきます。次回のレポートにつづく!

【今日の一枚】
衣裳パレード中のみなさま。一応これは全部没になった衣裳なので、ネタバレにはならないと思います。最初に着た衣裳で一発でオーケーが出るということはあまりありません。
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INTERVIEW – 大原研二さん

つづいての『アクアリウム』出演者インタビューは、DULL-COLORED POP劇団員、演技についての内省の深さと視野の広さ、知的な柔軟性と頼れる実力で座組の士気を鼓舞、大原研二(おおはら・けんじ)さんです!

────劇団員の方へのインタビューは、客演の方とは切り口を変えて、今現在語りたいトピックをそちらから出してもらって、それについて掘りさげるというかたちにしています。大原さんのトピックは、「空間との付き合い方」。これは、当然劇場空間ということですよね。
大原 そうです。たとえば、わりと小さな劇場だとほんとうに劇場の隅々まで見えるし、意識もとどくし、声がどこにどのくらい当たっているかとか、自分が舞台に立っているときのフォーカスの当たり方とか、非常に測りやすい。小さな劇場ならばそうやって感じやすい。でも、どの劇場でもそうとは限らない。場所が変わって、縦に凄い長い劇場とか、横幅がやたら広いとか、たっぱがあって上にすごい抜けてるとか、そういう空間でやるときには、小さな劇場であれば把握していたことが把握しづらくなる瞬間というのが出てくる。その空間をちゃんと自分の存在で満たしてやれるか(もちろんシーンによってそのバランスは変わるわけですが)ということが、劇場が小さければ上手く測れるのに、空間が広くなればなるほど、ちょっと心もとなくなっていく。つまり付き合い方が難しくなっていく。

────それは空間が大きくなれば大きくなるほど、比例的に難しくなっていくものなのでしょうか?
大原 難しくなるような気がしています。自分の直観としても、空間が大きくなればなるほどそれを満たすためには、まだまだ必要なものがありそうだと感じている。それは声だったり、自分がその場に立っている根拠を見出せるかどうかであったり……細かい演技のニュアンスのブラッシュアップ、ということはもう踏まえた上で、ただ単に立っているだけでも広い空間を満たすことができるかどうか。満たすことはできるはずだ、と思います。ただ突っ立っているだけでも。

────自分がその場に立っている根拠を見出す、ということは、脚本の読解レベルの話にも入ってくるような気がしますが。
大原 そうですね……たしかに台本を初見で読んだ、あるいは半立ち稽古という段階では、やっぱり自分の存在がばーっと外に広がっていくっていうだけのエネルギーがまだ出せない。そういう感覚はあります。読解が進めば進むほどやり易くなるということはある。でもその先の問題もあって、たとえば自分にはない声のことだったり、……あとは「表現」ですよね。ちょっとした動きにも深い根拠があって、一つ一つの所作が全部つながって表現として成立していくということが、実際あると思うんですけれど、そういった「雑味がない」状態を達成できるかどうか。

────「雑味がない」?
大原 ようはあまり根拠のないあいまいな動きがない、ということです。つい動いてしまった、ということが極力ない状態。ナチュラルなだけでは駄目だということ。でもそうやって高度な表現を達成して、自分の存在で空間を満たしてやるためには、結局のところ、意識的な努力をしていくしかないと考えています。たとえば木場(勝己)さんと谷さんとの間であったという、「『アーメン』どう言うか論争」みたいな細かい検討の積み重ね。とはいえ、その検討の結果決定した動きや言い回しが重要なのだというより、むしろ、そうした試行錯誤をしつこくやりつづける過程で濃縮されてきたものが、その役者にのっかって、最終的に舞台上で「あ、その人物がいまそこにいる」という存在感が生まれるんだと思う。木場勝己=フロイトがそこに居る、と。だから緻密な努力をやっていくしかない。……でも、台本をどう読解するかということひとつをとっても、これからやり方を自分なりに獲得していかなければならないんだろうという気がします。ともかくそういう意識を持っていれば、技術的な成熟も役者としての価値向上も付随してついてくるんじゃないか、と思っています。

────つまり、大原さんにとっては「空間を満たしてやる」という課題が、ご自身が今後役者として成長していくために設定した、長期的な目的意識としてあるわけですね。
大原 そういう課題を意識していれば、どの方向に進んでいても役者として得るものがあるんじゃないかな、と思います。逆に言うと、そういう予感があるからこそ、自分は空間との付き合い方を気にしているのかもしれない。いかにして空間を自分の存在で満たしてやるかということを。……今作の『アクアリウム』でも、稽古の中でさっき言った「雑味」に近いものをやりながら感じつつ、毎回それを削るということをして、人物としての存在感を出すことを目指しています。が……しかし、今回の役というのが、かなり自分の本来の生理とは真逆なので、もうその時点で或る意味いろいろチャレンジになっています、すでに。

────今回大原さんは大変な役を振られていますものね。では最後に、このインタビューを読まれるみなさまにメッセージをお願いします。
大原 「面白い」作品作ってます。「面白さ」は人によって、驚きとか笑える・泣けるとかライブ感とか、まぁ色々だと思うけど、何かそういうの全部ひっくるめて「楽しかった」って思ってもらえる作品だと思うのです。存分に味わってもらえるよう、腕磨いてお待ちしてます。

★大原研二さんの『アクアリウム』チケット個人予約ページ(東京公演12月分のみ)
https://ticket.corich.jp/apply/51045/005/
★大原研二さんのtwitter
https://twitter.com/oken2dry
★大原研二さんのオフィシャルWEBサイト
http://www.oharakenji.com/

稽古場レポート第十三回 – 11月23日

『アクアリウム』の稽古場レポート、第十三回をお届けします。
(目下『アクアリウム』について耳寄りな情報が公開されていますので、そちらもよろしくです。 →『アクアリウム』情報公開第3段!! http://ow.ly/r7V4g

俳優ってスゲェ。

今さらながらそういうことを思います。本日も前日から引きつづいて立ち稽古ですが、今回は演技を長めに回せるよう中断後まとめてダメ出しを言うかたちで、中盤〜終盤入口までを三度通しました。そして当然、くり返していくうちにシーンが谷演出の意図どおりブラッシュアップされていく。俳優がダメ出しを受けて演技を変えていく結果、そうなる。でもそれって、考えてみれば、俳優が自分の身体にダメ出しの修整を固定できなければ、不可能です。一度(場合によっては何度か)出したダメ出しが固定化するからこそ、そこから重ねて新たな修整が可能になる。当たり前のことと言えば当たり前のこと。しかし谷演出の出すダメ出しがめちゃくちゃ細かい上に、ときには難解な喩え話での注文だったりして、だから、俳優の方々が当たり前にやっていることの凄さというものは、やはりある。以前の修整(読み合わせ時のニュアンスの修整も含む!)が抜けてしまったら、ブラッシュアップ自体が成立しないわけだから。しかもその修整というのが、そのつど繊細な集中力を必要とするものであって。その過程をつぶさに見学しているからこその、「俳優ってスゲェ……」という感想になるわけです。

そして、そもそもブラッシュアップした結果どうなるか、ということ。この点については、稽古場で見ていて二重の驚きがある。一つには、「こんな細かいところまで直すのか」という驚き。でもう一つは、「あの些細な修整が実際やってみるとこんなに効果的なのか」という驚き。たとえば、MとNという人物が上手から舞台に入ってきて、歩きながらMはNに話し掛けるが、Nは憮然としていてすぐ下手の方へ立ち去ってしまう……という局面がある。ここで脚本上はNからもMに返す言葉があるため、Nはちょっと立ち止まる必要がある(舞台から去る前に科白を吐く必要がある)のだが、それでやや、Nの「すぐにも立ち去りたい」動機があいまいになってしまう。最初はN役の俳優に対して「もうそのまま舞台を横切って下手に消える勢いでいいよ」と指示が出たけど、上手くいかない。なので、今度は、MにNの袖を掴ませておいて、Nが科白を言った後にもずっと掴ませつづけて、Mが顔を別の人物の方へ向けて話し出すあいだも掴ませつづけて、NにMの手を強引に振りほどかせて去らせる、という一連の動作を加えた。するとようやくこの局面のぎごちない感じというか、雑な部分が消えて、MとNのやり取りがきびきびした自然の流れとして、際立ってきたのでした。或る意味、こうした直しを入れる前のMとNのやり取りでも、まあ、成立していたと言えば言えます。Nが無目的に立ち止まる点に、引っ掛かるひとは引っ掛かるかもしれないけど。でも、修正した後のやり取りとの相違は、紛れもない。明らかに修正後の方が不自然さがなくなっている。人物の動きの輪郭が印象づよくなっている。

もちろん、とくに書き上げられてから日の浅い後半部分では、まだ谷演出が「ここではこんなことがしたい」と解説しつつのダメ出しになりますが、おそらく俳優に科白が全部入り、作品総体のイメージが全員で共有できる頃には、最後まで、上述のようなブラッシュアップ、俳優に固定される演技のヴァージョンアップがつづくのだろうと思います。

というわけで、実は、この日一応『アクアリウム』の台本は完本したのでした。その読み合わせを終えて、谷演出の一言。「まだちょっと不安要素はありますが、たぶん、全部意図どおりにいったら、最終的に良い作品になるだろうな、って気がする読みでした。」

実際、良い作品になると思います。次回のレポートにつづく。

【今日の一枚+α】
この日は、冒頭にウォーミングアップとして「名前オニ」を行ないました。自分自身の名前でやってもつまらないので、今日のお題は「アメリカ人の名前」。このレポートを書いている今、東谷=ロドリゲスという事実だけが記憶に残っています。
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ダメ出しタイム中。時には高度な理解を必要とする注文も。──「ここは、なるべく整理されてない文章をあえて書いたところもあるので、『こうで、こうで、でもこういうことも言えて、でも僕はそうは思っていなくって、こうではなくて、でもこうで……』みたいな、思考のジグザグのスピードを出してほしい。この辺りって、お客さんが字面を追っかけちゃうと逆に成立しないタイプの科白なんだと思う。だからもっとポンポンポンと喘ぎながら考えてる感じを出せるといいと思う。」
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INTERVIEW – 中村梨那さん

(本日『アクアリウム』についての新たな情報も公開されたのでそちらもチェックしてくださいね! →『アクアリウム』情報公開第3段!! http://ow.ly/r7V4g
つづいての『アクアリウム』出演者インタビューは、DULL-COLORED POP劇団員、明朗なヴァイタリティと瞬発力、そして稽古後にすぐ反省する率直さが魅力の、中村梨那(なかむら・りな)さんです!

────劇団員の方へのインタビューは、客演の方とは切り口を変えて、今現在語りたいトピックをそちらから出してもらって、それについて掘りさげるというかたちにしています。中村さんのトピックは、「舞台の上で存在するということについて」。これは、課題として中村さんが最近考えていらっしゃることなのでしょうか。
中村 そうですね、常日頃考えています。……三年ぐらい前に、とあるインタビューで「ライバルは誰ですか?」と質問された時に、「赤ちゃんとマネキン」って言ったんですね(笑)。マネキンっていうのは、身体の美の極致として。そして赤ちゃんっていうのは……赤ちゃんには敵わないなと思うんです。

────それはかなり珍しい答えのような気がしますが……中村さんの場合、赤ん坊のように、ほんとうにお芝居が何もない状態、ただ生理だけで反応したり動いたりできるような状態を、舞台の上での理想と考えているのでしょうか。
中村 そういった状態に憧れている、ということだと思います。自分には絶対できないな、って思うので。私はどうしても舞台上で、科白の言い方や、ダメ出しの内容をそのまま『やろう』としてしまうことが多くて。そうじゃなくて、赤ちゃんのように純粋に舞台に存在して、来るものに無垢に反応して、出来事を起こしていく。そういう状態に近づいて行けたらと思う。
 ……集中する、っていうことだと思うんです。舞台上で、自分の役の設定なり文脈をものすごく信じて、落とし込んで、どこまで集中してやれるか……ほんとうに。
 たとえば一つのベンチに男女が坐っていて、その坐っている様子を見ただけでその二人の関係性が分かったりする。ちょっとした手の動き、そしてそれに対する反応一つで。
 1つ1つの無意識の判断や行動。日常では自然と関係性の中でやっていることのはずで、でも舞台に立つと「どう見えてるかな」って自意識が働いて、いろいろとそれが制限されてしまう──自分で制限してしまう。そういうのを取り払えたらと思うんです。もちろん「創り出すこと」の面白さというのは断然あると思うのですが。その前段階の話ですかね。

────そのように、中村さんが俳優としてやっていく上で、赤ん坊のような自然体を理想と考えはじめたのは、いつ頃からのことなのでしょうか。
中村 思い出すのは、大学での映画の講義です。世界で一番最初に撮られた映画を見て。それはスクリーンにただ海の映像を映しただけのものだったんですけど、不規則に立つさざ波、二度とくり返されない波の形、それらが移り変わっていくのを、何時間でも見ていられるなと思った。全然退屈しなかったんですね。
 そしてそれとは別に、父、母、子が食卓を囲んでいる映像も観て。登場する方々の演技がメインのはずなのに私はその後ろの木立が風で揺れている様とか、コーヒーカップから立ちのぼる湯気の形とか、そこにただ在る、「創ってる」んじゃなくて、ただ在る、そっちの方に目線をずっと奪われていったんです。もう授業の内容はそっちのけで、そういうところばかり見ていました(笑)。
 その後、思考が遠く巡り巡って行き着いたのが赤ちゃんだったんです。

────なるほど。そのような映画に対する少し変わった見方から、「赤ちゃん」という理想が出てきたというのは、一貫性があるように思います。
中村 ほんとに、その役「その人」として生きるということ。こんなの当たり前のことなんですけど……その場で呼吸をする、その場で目的を持ってちゃんと存在する。たとえば私が今、Yさんに「ねえ!」と呼び掛けるなら、こうやって、身体を開いてみせるじゃないですか。これはYさんに訴えかけたいからこそ。目的があって自然にそうやっているわけで、それを舞台上でも、「やらなきゃ」とか「計算して」とかじゃなくて、自然にその状態がその人物として出来るようになれればと思って……反復と関係性とを落とし込まなきゃきっと至れないですけど。そのことを目標にこれからも模索していきたいと思っています。
 ……今回の『アクアリウム』の●●役では、もう理想とは程遠いな!と思いながら苦戦しています。

────中村さんが苦労されているのは、稽古を見学していても伝わってきます。それでは最後に、このインタビューを読まれるみなさまにメッセージをお願いします。
中村 針に細い糸を通してカラフルなパッチワークを作るようなお話です。どこまで行っても人間の不可思議さと不可解さは尽きない。でも細ーい糸を手繰ったら誰もが引っ掛かるのでは……なんて考えて、観てくださる方からどんな声をうかがえるかとても楽しみです。
 2ヶ月間のロングラン!
 劇場にて心よりお待ちしております。

★中村梨那さんの『アクアリウム』チケット個人予約ページ(東京公演12月分のみ)
https://ticket.corich.jp/apply/51045/006/
★中村梨那さんのtwitter
https://twitter.com/rinxpear
★中村梨那さんのブログ「全力疾走っ。」
http://ameblo.jp/rinxpear/

『アクアリウム』情報公開第3段!!

12月5日より始まる、DULL-COLORED POP#13『アクアリウム』。
11月10日、17日に引き続き情報公開第3段をお届けします!

本日の新たな情報は…

【1】≪東京公演≫イベントのお知らせ
【2】≪大阪公演≫本日よりチケット販売!
【3】≪東京公演≫チケットプレゼントのお知らせ

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【1】≪東京公演≫イベントのお知らせ
1ヵ月ロングランの東京公演では、『アクアリウム』の世界にもう1m深く潜れるさまざまなイベントを開催致します!
ぜひお気軽にお申込み下さいませ。

◆「開幕パーティ」12/8(日)19:00~21:00
東京12月から岡山3月まで、年末年始どころか春になるまで公演し続けちゃおうという本公演!
そんなダルカラ史上最大の挑戦をいち早く見届けてくれたあなたと開幕を祝いたい!!ということで、開幕パーティしちゃいます!
このシーンどうなってんじゃ、あそこがよかった等々、あなたの忌憚ないご意見、私たちに直接ぶつけてみませんか?

〖参加者〗DULL-COLORED POP・「アクアリウム」出演者
〖料金〗2000円(飲み放題・劇団員手料理ほか軽食あり)

※関係者じゃないから、、、とご遠慮なさらず!ご観劇いただいた皆様、また、応援くださっている皆様と語り合いたくて設けたパーティです。
※ご観劇の前の方でもご参加いただけますが、宴の性質上、ネタバレの可能性ありです。ご了承ください。
※なので、よかったら事前に観てくれたら嬉しいな・・・!

◆「アクアリウム体験ワークショップ」12/15(日)・22(日)いずれも19:00~21:00
公演で実際に使用しているセット・小道具を使用して、出演俳優と一緒に舞台にあがってみませんか?
使用するのはもちろん「アクアリウム」の脚本の一幕。谷による演出もつけさせていただきます!
芝居経験の有無は問いません。一緒に「アクアリウム」の世界をもう1m深く感じてみませんか?

〖講師〗谷賢一・「アクアリウム」出演俳優(誰が出演するかは当日のお楽しみ!)
〖料金〗3000円(使用テキスト代含み)

※ご観劇の前の方でもご参加いただけますが、WSの性質上、ネタバレまくりです。
ご了承ください。
※なので、よかったらWS前に観てくれたら嬉しいな・・・!

◆忘年会 12/29(日)19:00~21:00
今年のダルカラもいろいろいろいろありました。6月には番外公演「プルーフ/証明」、(8月には番外で夏季集中講義も!)10月には番外公演「最後の精神分析/フロイトvsルイス」、そして12月からは4か月にもわたる第13回本公演「アクアリウム」…。
皆様の今年のご愛顧に感謝し、また、来年のご多幸を祈って、お客様と劇団の共通のホームである劇場で忘年会を執り行います!
お誘いあわせの上、奮ってご参加くださいませ。

〖参加〗DULL-COLORED POP・「アクアリウム」出演者
〖料金〗2500円(飲み放題・劇団員手料理ほか軽食あり)

◆年越しイベント 12/31(火)18:00~21:00
12月の3大イベントといえばクリスマスに忘年会に年越し!!!!
クリスマスも忘年会もやったからには、(千穐楽後だけど)ここまで見守ってくださったお客様と一緒に年越ししたい!!!
一緒にバカ騒ぎをして今年を締めくくり、2014年を迎えに行きましょう。

〖参加〗DULL-COLORED POP・「アクアリウム」出演者
〖料金〗1500円
〖内容(予定)〗
•若林えりマジ歌サウンドオブミュージック
•堀奈津美SMショー
•ももちゃんとお医者さんごっこ(別途オークション制)
•大原研二 奉納相撲
•スナック梨那
•東谷英人 瓦割り

•中林舞 動物ものまね/中島みゆきショー
•中間統彦 断髪式
•渡邉亮 ストリップショー
•一色洋平 あいのことば〜for you〜

※バラシの進行状況によってはイベント開始を多少お待ちいただくことがございます。ご了承くださいませ。
※予定は未定です。未定ですが、おそらくこんな雰囲気です。

☆イベント参加お申込み方法(共通)☆
劇団(info@dcpop.org)までメールにてお申込みください。
劇団からの返信を以て受付完了とさせていただきます。

件名:参加を希望するイベントタイトル名・日時
本文:①参加希望イベントタイトル名
②日時
③お名前
④お電話番号
⑤申込み人数

※複数イベントをお申込みの場合、お手数ですがイベントごとにご連絡をいただきますようお願いいたします。
※状況によっては受付を締め切る場合がございます。ご参加希望の方はお早目にご連絡くださいませ。

【2】≪大阪公演≫本日よりチケット販売!
『くろねこちゃんとベージュねこちゃん』から早2年、再びin→dependent theatreに参ります!
1stから2ndに会場を移し、一回りも二回りも成長したDULL-COLORED POPを大阪の皆さまにお披露目します。
本日午前10時より大阪公演のチケットを販売開始!ぜひぜひお越しくださいませ!
→大阪公演詳細はこちら

【3】≪東京公演≫チケットプレゼントのお知らせ演劇ポータルサイト「CoRich舞台芸術!」にて、チケットプレゼントを実施致します!
詳細は明日、11月25日にCoRich舞台芸術!のHPにて。→こちら
「お金がないけど観たい!」って方は、お見逃しなく!!

INTERVIEW – 東谷英人さん

つづいての『アクアリウム』出演者インタビューは、DULL-COLORED POP劇団員、実直な熱意で稽古場の空気を引っ張っていく、気さくな体当たり俳優、東谷英人(あずまや・えいと)さんです!

────劇団員の方へのインタビューは、客演の方とは切り口を変えて、今現在語りたいトピックをそちらから出してもらって、それについて掘りさげるというかたちにしています。東谷さんのトピックは、「喋ること」。たとえばこれは、東谷さんが『ゲスバカ天国』( http://ow.ly/r4MAO )というポッドキャストをやってらっしゃるのと関係することでしょうか?
東谷 いや、それはまったく関係ないわけじゃないですけど、今とくに考えていることっていうのは……最近世の中があまり「喋る」ことなしに生きて行けるようになっているな、ってことです。極端な話、インターネットがあれば、買物なんかは大抵ネットの手続きで済ませられる。それに普段の生活でも、かなり能動的に行動しないと、あまり人と関わることなしに、人と喋ることなしに過ぎてしまう。でもそういう状況に対して、今の自分としては、ポッドキャストをやったりすることもそうですけど、もっともっと喋っていきたいなと思っているんです。

────その喋るっていうのには、舞台上で台本の科白を発語することも含まれるのでしょうか。
東谷 ええ。舞台上で喋るっていうのも、ただ科白を口にすればいいということではないですから。もちろん台本の言葉を喋っているんですが、それを覚えて口にするだけなら誰にでもできるわけで、自分の言う言葉を、それを自分が言う根拠は何か、とか、どういうふうに言うのか、とかを考えてはじめて役者として「喋る」ことが成立する。

────では、演劇においてや、ポッドキャストにおいて以外の領域で、東谷さんは今どのように能動的に「喋る」ことを実践されているのでしょうか。
東谷 そうですね……たとえばの話ですが、短期のアルバイトをしてみて、まったく演劇とは関係ない人と職場を共にして、そこで本来の自分とは全然違うふうな態度を敢えてやってみたりとか、実験しています。俺普段だったらこんなこと絶対言わないのにな、ってことを言ってみたりして。お世辞とか。思ってもないのに褒めてみたりとか。遠慮せずに文句言ってみたりとか。でもそれは単にわざとキャラを変えているというのではなくて、こういうことを今言ってみたらどうなるかな?とか、どういう反応として返ってくるのかな?とかを「聞く」ためにやるんですね。そうやって「喋る-聞く」のヴァリエーションを実験してみる。

────非常に面白いことをやってらっしゃると思いますが……そういう実験をして、それは最終的にどういう目的につながっていくのでしょうか?
東谷 目的っていうか……そういう実験をしてみて、分かるのは、どうとでもなるな、ってことです。或る意味自分のことがよく分からないので、自分がどういう人間なのかなっていうのを知るために実験してみるんですが、普段の自分どおり以外の自分として喋っても、意外と通用したりして、そうすると自己認識が広がっていく。……でもこれって、演劇にも通じることじゃないかって思うところもあります。つまり、そういうふうに自己認識を広げるって、演劇のワークショップとやっていることが変わらないなって。喋ることの実験をやっている、という意識を持てば、接客業をやりながらでも多くの発見がある。ムカつく客とのやり取りの中でも新鮮な面白さがある。どんな仕事でも、これは演劇のワークショップなんだなって思えば、大抵のことは興味をもってやれる。

────でも聞いていると、むしろ東谷さんが演劇人として活動していることが日常に滲み出して、喋ることの実験をやっている、というふうに思えます。つまり、東谷さんが演劇をやっているからこそ、そういうお考えを持てるのだと。
東谷 いやでも、「演劇」というよりは……自分が面白いと思う演劇っていうのは、なんか「ほんとうだな」とか「生々しいな」っていう印象を受けるものなんですね。明らかに「嘘っこ」と分かる芝居は好きじゃない。だから、自分のなかで日常的にリアルに人間観察をすることと、演劇をやることっていうのはあまり乖離していない。演劇をやっている人の誰もが、仕事を演劇ワークショップみたいに捉えられるわけではないと思います。誰もが、50代のおばちゃんの話に真面目に耳を傾けられるわけではない。でも僕は、おばちゃんの話を聞いてみて、意外と面白いなと思えるんですね。個人的な体験談とか。そんな話に関心を持てたりする自分自身も面白い。そこからさらに、このおばちゃんに好かれるためにはどうしたらいいかな、と考えてみるのも面白い。そうするとなんでもない日常が面白くなるし、生きやすくもなる。そしてそれもまた演劇にフィードバックされていくんです。それが、ここ半年ほど芝居に出ていなかった時期に考えていたことで……それをこの『アクアリウム』に応用して活かせたらいいなと思っています。

────上手いこと話をつなげていただいてありがとうございます。最後に、このインタビューを読まれるみなさまにメッセージをお願いします。
東谷 読まないでください。といっても無理か笑。おもしろいってなんでしょう。みなさんはどうですか?……新作やりますよ!ぼくらはやろうとしてる。やります。ぼくらの「おもしろい」を。ぜひ観にきて頂けたら幸いです。 

★東谷英人さんの『アクアリウム』チケット個人予約ページ(東京公演12月分のみ)
https://ticket.corich.jp/apply/51045/004/
★東谷英人さんのtwitter
https://twitter.com/azumaya8
★東谷英人さんのブログ「東谷英人ひとりかい」
http://ameblo.jp/e-az/

稽古場レポート第十二回 – 11月21日

『アクアリウム』の稽古場レポート、第十二回をお届けします。
(目下『アクアリウム』について耳寄りな情報が公開されていますので、そちらもよろしくです。 →『アクアリウム』情報公開第2段!! http://ow.ly/qTVvC

本日も前日からのつづきで立ち稽古。でも稽古するシーンがシーンなだけに、今回はダメ出しでかなり細かく間やニュアンスが指定され、谷演出のイメージに沿うようにがしがし演技が研磨されていきます。もちろん、俳優たちにエチュード的にアイディアを出させて、出て来た反応のなかから面白いものを採用していく、といった時間帯もありましたが、おおよそしつこいくらい丹念な返し稽古で、シーンの完成度を高めていくということがつづく。

谷演出のダメ出しがどれだけ細かいか。たぶんそれは、読者の方の想像の五割増しくらい細かいので、今回は具体例で描写していきます。

たとえば、或る役Dのそんなこと言う必要ないでしょ的な科白に対しての、役Eの応え、「どうして?」の一言について。谷演出はまず「ここちょっと気になるんだけど……」と違和感を表明してから考え込む。初発はちょっとした違和感から始まる。そしてそれをじっくり考え考え言語化し、ダメ出しとして提示していく。それによって「……たぶん、この『どうして?』が疑問に聞こえちゃうと良くないんだと思う。『なんで?』って訊いちゃう感じじゃなくて、『言えて当然でしょ?』っていう、言えない人の存在があり得ないみたいに引いちゃう感じの『どうして?』だと、良いんだと思う。自分の常識が当然だと思っている、聞いててムカつく感じ。『なんで?』と疑問にしてしまうとその感じが出ない。」──というふうに、やたら精密なニュアンスの修整が行なわれます。しかもこの修整は、このシーンで役Eが基本的には善人っぽく、申し訳なさそうにしていながらも、ときどき「言えて当然でしょ?」みたいな怖さを見せることが、周囲に対して不気味さを伝播していくという現前的効果に寄与するものとして、一貫した作為のもと、指定される。そして俳優の方も、ダメ出しを受けて、自分のやり易い感じ、つなぎ易い感じではなくて、谷演出の一貫したイメージに沿うように演技を適宜変えていく。そんなふうなねちねちした稽古が、延々とつづくわけです。

もう一例。役Eと役Fの以下のようなやり取りについて。
E「なら話が早い。」
F「え?」
E「あぁ、いえ。」
F「え?」
この役Fの最初の「え?」について、谷演出はまず「まだちょっと求めている音と違うかな」と言及する。つづけて、この「え?」は全然何を言われている分からない感じだと良い、と説明。ここでのEはあまり状況を呑み込めていない方が場の空気にもふさわしい……。そして突然、E役の俳優に向かって「あなたは清涼飲料水でいったら何?」と質問する。それがあまりに意味不明なので、しばらく絶句してから、ふと笑い出してしまうE役の俳優。すると、すかさず「そういう感じそういう感じ! 『それ何の質問?』って感じで、ほんとに頓珍漢なことを言われて、うっ、ってなる感じで、この『え?』を出せると次につながっていく」と指摘する谷演出。稽古場で現われるダメ出しの手管は多種多様。ときには、こうして捻った喩えを使って、言語化の難しいニュアンスのヒントを役者の方に与えていくこともあります。

上の二例はもっとも細かいダメ出しの例です。必ずしもこんな修整ばかりつづいたわけではないですが、今日一日の立ち稽古で、所作や目線や反応も含めた細部への彫琢がほどこされ、ぼんやり観ていると見逃しそうな舞台上の瞬間にまで、演出の神経が張りめぐらされていきました。ちょっと宣伝っぽいことを言っておけば、この演出の精緻さは、一度観ただけでは味わい尽くせないです。それは断言しておきます。(リピート観劇しましょう、ということ。)

次回のレポートにつづく!

【今日の一枚+α】
前の方に集まって稽古を見る俳優の男性陣。若林えりさんと中村梨那さんが演じなければならない或るシーンについて、彼らがしきりにアドバイスを飛ばします。なぜ男性陣が、なのかは、実際の上演を観ていただければ分かります。たぶん。
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神妙にアドバイスを聴く若林さんと中村さん。
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稽古場レポート第十一回 – 11月20日

『アクアリウム』の稽古場レポート、第十一回をお届けします。
(目下『アクアリウム』について耳寄りな情報が公開されていますので、そちらもよろしくです。 →『アクアリウム』情報公開第2段!! http://ow.ly/qTVvC

本日は冒頭、谷演出の「ものを並べてみようかな」という言葉から、稽古場(閉校になった学校の教室)の机や椅子を使って仮のセットを組むことからはじまります。配置を色々試し、試していくなかで気づくこともあり、谷演出からやはり指示も出たりして、おおまかな空間の使い方が決まっていく。それから谷演出の「じゃあみなさんなりに始まりの準備をしてみてください」という言葉。というわけで今日から本格的に立ち稽古です。

「台本」が「舞台芸術」になるプロセスには必ず「演出」という契機がかんでくる。立ち稽古になると、その「演出」によって何がどう変わるかが如実に見えて来ます。昨日までの稽古でも、一応(とくに前半部分は役者の方々に科白が入っているので)半ば立ち稽古のような感じではあった。つまり、役者の方が思い思いに芝居をつけて、それに対し谷演出の「ここはこうしようか」というコメントが入ったりし、舞台上での絵面がちゃんと見えて来るような稽古ではあった。しかし、それはあくまで台本に忠実な上での無難な絵面にすぎなかった。そのことが、今日の稽古ではっきりします。

立ち稽古。冒頭から役者に演じさせていきながら、谷演出は、台本では確定していない部分を試行錯誤しつつ決めていく(「東谷ソファーに寝転がってみてくれる」「いっそ亮君上手のソファーにしたら?」「えちご(中間さん)は坐るの禁止で、センター奥に居て」)。それと同時に、谷演出は、台本には無い要素を次々足していって、目の前に現前するものを台本以上のものへとどんどん飛躍させていきます。これが面白すぎる。それは、ちょっとした反応や科白を付け足すのにとどまることもあれば(「……の科白の後に『ん?』って言ってみてくれる?」)、シーンの印象を大幅に変えるような発想の転換の試行であることもある(「このシーン普通すぎるな。どうしたらいいんだろうな。……でやってみようか」)。谷演出は、その場でポンポンアイディアを出して役者に試させていきます。そして、役者の方は最初はとまどいつつも、谷演出の意図を理解すれば、そのベクトルを自分のアイディアでさらに倍加させていく。結果として、台本からだけでは読み取れないはずの、予想外の面白さが目の前で具現化する。

例えば。台本上で次のようなやりとりがあります。
A「遅いな。Cさん。」
B「お前これさ。」
A「はい。」
字面で見ればなんてことない会話ですが、ここにいたるまでに、谷演出がAのキャラクターに一貫して或る要素(主に所作に関して)を加味していって、それをAの役者の方がさらに謎な方向に飛躍させたので、なんかよく分からないけれども、これだけで笑えるやりとりになったりする。読み合わせの時点では絶対に出ていなかった面白さです。このような、「なんかよく分からないけど面白い」という効果は、たしかに、稽古場でじかに演出家と俳優とでアイディアをがしがし突き合わせながらでないと実現できないように思える。アイディアとアイディアの掛け算、つまりそれが「演出」の醍醐味なのだと。

『アクアリウム』、まだ脱稿には至っていませんが、舞台上でどのようにこの作品が現前するのかは、徐々に見えてきています。次回のレポートにつづく!

【今日の一枚】
或るシーンで実現したい雰囲気というものがなかなか作れないので、谷演出が俳優たちにもアイディアを出してほしいと言い出し、ディスカッション中の俳優の方々。ときには相当精密に動きや発語のニュアンスを指定する谷演出ですが、俳優たちにも考えさせ、「演出家と俳優全員の脳みそがまざりあった状態でやりたい」ということも志向しています。
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稽古場レポート第十回 – 11月19日

『アクアリウム』の稽古場レポート、第十回をお届けします。
(目下『アクアリウム』について耳寄りな情報が公開されていますので、そちらもよろしくです。 →『アクアリウム』情報公開第2段!! http://ow.ly/qTVvC

稽古オフを一日挟んでの19日は、新たにラスト近くまでの台本が役者に渡されましたが、まだまだ改稿の余地があるということで流れで読み合わせしたにとどまりました。本日集中して行なわれたのは、一昨日までの部分の返し稽古です(読み合わせだけれど少し芝居をつけながらの、半分立ち稽古のような稽古)。

そして、本日の集中した稽古で、部分的ではあるけれど、谷演出が台本を書きながら想い描いていたイメージが飛躍的に具現に近づいたという観があります。たとえば谷演出は14日に──第一・五稿として再出発してから新たに書き上げた部分を持参した日に──すでに次のようなことを言っていた。「今日出した台本に関して、ふざけて書いているのかなと思われる箇所があるかもしれないが、そういう意図はなくて、むしろ必死にやっている人のズレ方が見るひとによっては滑稽に映る、という感じでやれればいいな、と思っている。……登場人物をコケにするんじゃなくて、そのひとはそのひとなりに自分の人生に向き合って必死に生きている、その上でそれが面白く見える、というのを目指したい。」

おそらく「ふざけて書いているのかなと思われる箇所」というのはこの辺りなのだろう、という見当はつきます。けれども、14日の読み合わせでは上述の「面白さ」は見えて来なかった。谷演出の言葉も概念的な理解にとどまった。それが、本日の返し稽古の中で、谷演出が、そのシーンにかかわってくる人物ひとりひとりの腹にある感情を役者に示唆し、局面ごとに空気がどう変わるかのイメージを伝え、場合によっては台本にない掛け声や感情表出(「泣く」というト書きのないところで「もっと泣いて泣いて」と指示)を追加して、そのシーンを構成する要素を歪なくらいに研ぎ澄ましていった結果、最終的に、その場にいる人物全員真剣なのに見てると爆笑できるという、ポップにズレまくったシーンに仕上がったのでした。それでようやく、「ああ、最初からこういうことがやりたかったのか!」と腑に落ちた次第です。

そしてたぶん、まだ谷演出の頭の中にあるだけで具現化されていないニュアンスやイメージというものは、膨大にある。というのは、これまでに稽古の合間合間で谷演出は『アクアリウム』という作品で何を目指しているのか、役者たちに語ってきていたからです。「そのひとはそのひとなりに自分の人生に向き合って必死に生きている、その上でそれが面白く見える、というのを目指したい。」というのはそのうちの一つに過ぎない。たとえば以下のような谷演出の言葉も、主要なモティーフとして、なお具現化を待っている。台本の字面の深層で。けれどもそれを具現化するための端緒も、今日の稽古の中でかすかに掴まれたという気がします。

「酒鬼薔薇聖斗を扱いつつ、少年犯罪と現代の閉塞感というテーマを打ち出しつつ、それでいて茶化したり問題の扱い方を浅くしたりはしないで、しかも、観終わったら『とても楽しい芝居だったな』と思える作品にしたい。」

この戯曲が『アクアリウム』と題されている所以も、そろそろ明らかになりそうです。次回のレポートにつづく!

【今日の一枚】
役者たちの前につかつかと歩み出て演技指導をする谷演出。役者のふっきれない演技に対し、人間がいかに発狂するかというさまをみずから身をもって示します。
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INTERVIEW – 一色洋平さん

『アクアリウム』出演者インタビューの三番手は、弱冠二十二歳、役者として多彩に活躍しながら並行して総合運動トレーナーとしても活動されている、一色洋平(いっしき・ようへい)さんです!

────一色さんはお父さま(脚本家・一色伸幸さん)の影響で幼少の頃から舞台観劇の経験はあったそうですが、大学で早稲田大学演劇研究会に入るまでは、演劇をやろうという機会はなかったのでしょうか。
一色 本格的には、なかったですね。自分の行っていた高校が、文化祭で、何の決まりもないのに全クラス演劇をやって毎年お客さんの投票で一位を決めるみたいなことをしている学校で、それに熱心に取り組んだということはありましたけど。でも、演劇に対する関心は昔からあって、高校三年の夏に中学からやっていた陸上競技を引退してから、今後何をやろうかと考えたときに……その頃も僕は舞台観劇によく行っていたのですが、まわりの男友達はほとんど舞台を観たことがないという人たちばかりで、それが勿体ないなと。舞台って面白いのになと。そう思って、どうやって周囲の友達に演劇を広めようかといろいろ考えてみたところ、まずは自分たちで演劇をやってみんなに見せようということを思い付いて。演劇部の仲の良い友達を誘って演劇ユニットを組んで、芝居をすることを始めました。それが演劇に主体的に取り組んだ初めてです。なんというか、最初の動機は、俳優になりたい、プロの役者になりたいということよりも、演劇の面白さを是非多くのひとに知ってもらいたいという想いでした。

────そして大学では演劇研究会に入って、本格的に演劇の道へ進んだということになりますが……その前に、一色さんは総合運動トレーナーであるという一面もある。陸上競技を引退した選手が必ずしもトレーナーになるとは限らないことを考えれば、トレーナーの資格を取ろうとされた動機も伺ってみたいのですが。
一色 まず、大学では陸上をやるつもりはなかったんです。自分も一応色んな戦績を残してはきたのですが、自分の身体のことは自分が良く分かるので、大学入ってからも勝てるかどうかは多分難しいと自覚していて、高校できっぱりやめる決心はついていました。でも、それでも、運動競技、陸上競技、そしてひとの身体というものがすごい好きだっていう気持はあって……なんで好きかというと、身体っていうのはとても単純だからです。1+1=2くらい。そんな単純な計算問題のように筋肉痛の理由が分かったり、こっちを治しちゃえばこっちも治るみたいなことがすらすら分かったり。そういうとっつき易いところから好奇心を持って、また、自分は人をサポートすることも好きだったので、それが相俟って、指導者、トレーナーとしての勉強に取り組むようになりました。

────そして総合運動トレーナーとしての知識を演劇にフィードバックするかたちで、一色さんは俳優へのトレーニング、劇団へのワークショップ等も行なっているとのことでしたが、それはどういった内容のものなのでしょうか?
一色 俳優っていうのは作品によって身体つきがいろいろ変わらないといけない職業だな、と思ってるんです。僕も出る芝居出る芝居で結構身体つきが変わります。その変わることを見越して、俳優は変わりやすい身体を用意しておくべきじゃないかと思って。怠惰で不活溌な身体もときには必要なのだろうけど、ときにはすごくキレる身体も要求されることもあるわけで、そのためのフレキシブルに動ける要素を身に付けたら俳優にとっては役立つんじゃないかと思って、僕はそれを「フレキシブル身体論」って呼んでるんですけど、そのことを最近俳優の方々にお教えしたりしています。

────お話を聞いているとやはり「身体」というのが一色さんにとって肝要なのだと感じます。そこで、たとえば稽古初日の『冒した者』のテキスト読みでも、一色さんは「身体と演技の関係について何かポリシーをもってますか?」と谷さんから逆に質問されていましたが、実際そのような意識、ポリシーを明確にお持ちでしょうか。
一色 そうですね……いつのことか明確じゃないんですが、今まで色んな方と出会ったり、同じ演劇をするひとと出会ったりする中で、その相手の普段、平素やっていることをすごく気にして注目するようになった時期があったんです。こうやって単に会話しているときに相手がどういう動きをするか?とか。中にはめちゃくちゃ動きながら喋るひともいるし、じっと動かないひともいる。それを観察してみたときに、或る時ふっと、視点を折り返して、じゃあ自分が動きをつけて喋ったりするのは一体どういう時なんだろうとすごく冷静に自分を省みて、そこから、実は身体と心って関係してるんだなってことに気づいたんです。で、演劇の稽古においてもこの気づきは重要だなと思って。というのは、稽古中演出家から「今の感じ良かったよ」と言われた時に、俳優としてはそれを毎回毎ステージ再現したいと考えるわけですが、それをどうやったら再現できるのかということの答えは、たぶん自分の身体の内にしかないと思うんです。つまり、どのくらいの横隔膜の震えだったか、手足にどれだけ力が入っていたか、お尻はどれだけ締まっていたか、肋骨がどれだけキュッとなっていたか、そういった感覚を、例えばそれにともなう感情を再現してみるのではなく、同じ身体の状態を再現してみるだけで、似たような感情がまたふっと再現できたりするということもある。そのことに気が付いたんです。そこから、身体と心がリンクしているならば、先に身体の状態の方を用意してしまえば、感情の方も再現しやすいんじゃないか、「良かった」テイクを再現するには、実はそれも一つの近道なんじゃないか、……そういうことを、自分なりにいろいろ試してみて見出していきました。それが、身体と演技にかんする自分の考えと言えば考えです。

────一色さんはtwitter上で、先日まで出演されていた『太陽とサヨナラ』で学んだことは「息を吸うこと」と「力を抜くこと」の偉大さだ、と仰っていたのですが、それもまた、今の身体と演技というお話とつながることでしょうか。
一色 なんだろう……呼吸のことは、相手の話を聞くときに自分はどうしてるだろうか、と言う疑問から考えはじめたことで……自分が話しているときのことはよく覚えていても、聞いているときの自分の状態はあまり意識していなかったな、と思って。それで、自分の身体を振り返ってみた時に、「あ、人の話は息をちゃんと吸わないとちゃんと聞けんな」ということに気がついたんです(笑) 普段の生活で、聞いている時の呼吸を色々試してみたのですが(止めてみたり、吐いてばっかりにしてみたり)、やはり聞く時間が長くなればなるほど、きちんと吸わないといけないことが分かりました。ところが、僕は、舞台上で相手の話を聞くときに、どうやら吐いている量の方が多かったんですね。そして、僕なりの身体論を踏まえて言うと、息を吸うことによって身体全体の動きは正しくなるし、息を吸う量が少なくなると低酸素状態っていう集中力が低下する状態におちいってしまうので、やはりちゃんと息を吸って身体の状態を落ち着けて相手の話を聞くということが必要なんだなと考えはじめて。それが『太陽とサヨナラ』の初日の頃です。本番の舞台上で、ぼーっとしてるわけじゃないんだけどなんか相手の話を上手く聞けないなと感じたときに、自分はどうやら息を吐く量の方が多くなっている、と気づいた。で、吸った瞬間に、相手の顔が鮮明に、すごく立体的に正確に見えてきて、あ、これだ、呼吸が重要なんだ、と分かったんです。ほかにも、ゆっくり歩くときとかも、集中していると息を吐きながら歩いてしまうんですが、そうじゃなくて逆に吸った方がはるかに楽に歩けるんだな、と気づいたり。そういったことを本番を重ねる中で学んでいきました。

────身体と演技について、非常に興味深いお話ですが……長くなってしまうのでこの辺りで切り上げさせていただきます。最後に、このインタビューを読まれるみなさまにメッセージをお願いします。
一色 先日、ピーター・ブルック(イギリスの演出家)のインタビューに、「演劇の無力さを感じるというのは最悪の状況といえるでしょう。」という一節がありました。88歳になる彼が、世界の演劇界の第一線を走っている彼が、「演劇は世界を変えられる!」と力強くコメントして下さったのです。22歳の走り始めの若僧が、それを信じて走らない手段は、ありません。──今作品『アクアリウム』が、一人でも多くの方の人生に関われますようにと力強く願って、1ステージ1ステージやっていきたいと思います。どうぞ、宜しくお願い致します。

★一色洋平さんの『アクアリウム』チケット個人予約ページ(東京公演12月分のみ)
https://ticket.corich.jp/apply/51045/010/
★一色洋平さんのtwitter
https://twitter.com/yohei_isshiki
★一色洋平さんのブログ「いっしきにっき」
http://ameblo.jp/yohei-isshiki/

稽古場レポート第九回 – 11月17日

『アクアリウム』の稽古場レポート、第九回をお届けします。
(目下『アクアリウム』について耳寄りな情報が公開されていますので、そちらもよろしくです。 →『アクアリウム』情報公開第2段!! http://ow.ly/qTVvC

本日も数頁原稿を書き上げてきた谷演出でしたが、その新たな部分は使わずに(ここから先ラストまでデリケートな部分になるので、書き直す可能性が大いにある)、今日はここまでの原稿からいくつかの部分を取り上げ、読み合わせの返し稽古を行ないました。

谷演出のダメ出しは日に日に細かくなっていきます。昨日までも丁寧なコメントは出ていましたが、今日のはちょっと質と量の水準が違う。「ここの箇所テンポが全体的に早い」「もう少し相手に合わせて突っ込む方法を変えてください」──といった大掴みなダメ出しに代わって、たとえば、一色洋平さんが台本の「それはまぁ」という言葉を「まぁそれは」と覚え違えていたのに対し、「そこは正確にしてください。『まぁそれは』だと『まぁそれは(いいじゃないですか)』というニュアンスになってしまいますが、そうではなくて、『それはまぁ(置いといて)』というつもりで書いているので」というピンポイントでの修整が入る。ようは、台本の言葉ひとつひとつの背後に膨大なニュアンスの想定があって、俳優がそれをなんでもないように口にしてしまった場合、すかさずダメ出しが出るという感じです。逐一。

この「あぁ」という科白は「あぁ(言ってなかったっけ?)」というニュアンスでわざとらしく。「厳しい世界なんだね」これは十歳の女の子が好きな男の子に感心するみたいに。「ばか言うなよ」これには「おまえの方が好きだよ」というニュアンスを込めて。「ごちそうさま?」これはもう十分喋ったでしょ、片付けるよ?という素っ気なさで。「ばーか」これはもっと小難しいこと言おうとしてこの一言しか出てこなかった、というふうに。「しかし部長、三人目も魅力的だ」これは邪悪な武器商人のような感じで。旦那、こっちの商品も良いですぜ、みたいな。……

これら幾多のダメ出しの正解を担保するものは何か。思うにそれは、作家兼演出の谷賢一の頭のなかにある、登場人物ひとりひとりについての直観的なイメージです。ロジックとしては、この人物はこうこうこうだからこういう状況ではこういう空気を出してこういう振舞いをして、この科白の中のこの言葉をこういうふうに喋る、という筋道。

そして、そのイメージを俳優が受肉したとき、俳優がただナチュラルにそこに立っているのではなく、リアルな登場人物として見えてくる。谷演出が稽古の後半に、「なんか歪な感じが見えて面白くなってきたな」とふと言って笑ったとき、確かに東谷英人さんが●●として見えてくる瞬間がありました。今後も、こういった瞬間がどんどん増えていくのだろうと思います。

次回のレポートにつづく。

【今日の一枚】
今回は詳しい説明は無しで。twitterで谷演出も言及したとおり、今作では大原研二さんと一色洋平さんに尋常でない役が振られています。この一枚から、何かしらそのヤバさを感じ取っていただければと存じます。
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稽古場レポート第八回 – 11月16日

『アクアリウム』の稽古場レポート、第八回をお届けします。
(本日『アクアリウム』についての新たな情報も公開されたのでそちらもチェックしてくださいね! →『アクアリウム』情報公開第2段!! http://ow.ly/qTVvC

16日の土曜には、谷演出がさらに書き進めた原稿を持って登場。そのできたばかりの部分を三度ほど読んでニュアンスを試したあと、原稿を頭から読み合わせていきました。

谷演出が言うには、今日書いてきた部分でおおよそ『アクアリウム』の全体像は見えてきたはず、とのこと。戯曲というのは展開的に開いていく時間と閉じていく時間があって、『アクアリウム』は、ここまで書いてきたものにプラスであともう少しだけ開くけれど、あとは閉じていくだけなので、作品の射程は今日までで読み合わせした部分にほぼ含まれている。だから先が分からないからイメージできないということももうほとんどないはず。今後は演出家(作家)と俳優とで互いのイメージを狭めていって、互いのなかで正しいイメージを結べるよう努力していくことになる──。

……とはいえ、傍からの見学者の目で見ると、この時点ではまだまだ谷演出が持っている確たるイメージと、俳優陣が抱いているイメージとのズレ、差異、その乖離が大きいことに驚きます。無論俳優の方々も無考えにやっているのではない。科白をちゃんと入れた上で、色々試行錯誤して演技のなかで実践しているのですが、むしろ「不安が良く見える。見え過ぎで、なるべく逆をとって、全然動揺が見えなくてもいいくらい。」「すごい一生懸命やってくれているけど、ちょっと変な力み方になっている。」……といったダメ出しが出たりもする。

ダメ出しについては、9日にあった演技レクチャーでも言及がありました。演出が抱いているイメージがひとつの円だとして、俳優が(テイク毎に)演技として表わすものもひとつの円だとして、その二つの円は、重なり合う部分もあれば重ならない部分もある。その場合、演出家のコメントの仕方としては、重なっている部分について「ここ良かったよ!」と言うか、重なっていない部分について「そうじゃないんだよねー」とバツを付けるか、の二種類。で、後者のケースで問題なのは、稽古が進んでバツが増えていくにつれてそれが俳優にとって重荷になってしまうこと。「自由にやって」と言われても、「でも大きな声出すなって言われたんで」「もっと待ってと言われたんで」と自縄自縛の状態で苦しんでしまう。でも、俳優の姿勢としては、とにかく解釈が合って「良かった」と言われたところをひたすら追求しつづけるしかないだろう……それに、イメージの芯さえ捉えられていれば、あとは円が多少はみ出ようが小さかろうがどうでもいいはずなのだ……ということを、谷演出は講義していた。

この日もだから、単に「……しない」というダメ出しをするだけでなく、「ここは良かった」「ここの部分では良く出来ているので、その感じをこちらでも出せれば」といったマイルドなコメントも丁寧に出されました。しかし、稽古時間の残りにそれほど余裕がないことも事実。なので、稽古中に谷演出からこんな発言も飛び出します。

「おそらく今の執筆ペースだと、火曜日には脱稿できるんじゃないかなと思います。そうなるとあとは稽古稽古ですが、今回は時間の問題もあり、『よし。じゃもう一度やってみようか!』というやり方ではできそうにない部分もあるので……相当乱暴な稽古の付け方をします。演劇悪魔と呼ばれる所以の稽古を久々にやることになりそうです。」

やべええええええええええええええええええええええ。来週には待望の演劇悪魔降臨祭来るか。戦々兢々とそのときを待ちたいと思います。次回のレポートにつづく!

【今日の一枚+α】
今回は少し趣向を変えて。演出助手の元田暁子さんと、劇団員の塚越健一さん。塚越さんは今作には出演しませんが、稽古場に通って演出家や役者を補佐する仕事をさまざま担っています。つい先日ご生誕日を迎えられたそうで。おめでとうございます。
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もう一枚。「ダメ取り」中の元田さん。できるだけ止めずに流れで見るというかたちの稽古では、役者に演技をつづけさせながら、谷演出は、このようにダメ出しを元田さんにつぶやいて書き取らせていきます。そして演技中断後のダメ出しタイムでも、主に元田さんが発言する。谷演出の演劇言語を高いレベルで理解している元田さんだからこそできることでしょうか。
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