稽古場レポート第二回 – 11月6日

投稿者: dcpop13aqua

『アクアリウム』の稽古場レポート、第二回をお届けします。

11月6日は稽古二日目。仙台から見学に訪れた原西忠佑さん(DCPOP第12回本公演『完全版・人間失格』男ver.主演)も交えての人狼ゲームを、前半に行ないました。人狼ゲームのルールはこちら→http://ow.ly/qyNhX。疑心と偽装とが錯綜する対人心理ゲームです。稽古としてやる意味は、表情や挙動から相手の心理を読みまくるという緊迫感のなかで、ひとりひとりが互いに共演者のキャラクター性への理解を深めていく、ということがあるでしょう。ゲームとして楽しみながらも。たとえば、あまりに反応が純朴なので占い師として名乗り上げれば無敵(誰からも疑われない)の若林えりさんと、逆に、あまりに挙動がナチュラルに狂人なので占い師として信用されず、村を敗北に導いた中村梨那さんとの対照など。きわだった個性の相違があらわれた一例です。個人的には、さわやかベビーフェイスで一色洋平さんをそそのかし、最終日まんまと村人の堀奈津美さんを処刑させた中間統彦さんがMVP。初心者でこれは凄い!

そして後半は『アクアリウム』台本読み合わせ。昨日は一色さんと大原さんだけでしたが、今日は10人全員に仮配役が振られて、まとまった分量の読み合わせをしました。6人の……と2人の……と、……と……と。使われた台本はまだ準備稿で、これから直しも入るもの。しかし今作『アクアリウム』は初発のコンセプトからして異質なので、作品の特異性を座組で共有するためにも、読み合わせ中、谷演出からの「こう読んで」という細かい指示が入ります。「われわれが普段やっている『リアルな』演技とは違うけれど、その人物なりの真剣さがあるというふうにやってほしい」「大原さん、間が多い。それはリアリズムであれば正しい間なんだけれど、もっと別のテイストを求めている。観客が『なんだか分かんないけど凄いものを観た!』という感じになるといい」……

そう、今作『アクアリウム』は明らかに野心作です。普通のリアリズムからは、微妙に逸脱している。今回読み合わせた10頁程度でも、その全貌の新奇性は予感できる。しかもその野心的な実験は「演出」ではなく、「脚本」レベルでの試みだ。プロジェクターを使うとか三人一役とか客席に関与するとかマスゲーム的群舞とか、そういう実験ではない。俳優が書かれた科白を喋るという一点の可能性において──それがどのようにシーンのなかで受け渡されていくかという点において──新生面を拓こうとしています。

ネタバレになってしまうので、その試みについて、具体的には書けません。だが、この挑戦は、もともと現代風会話にモノローグを噛み合わせることを得意としており、『モリー・スウィーニー』のようなモノローグ劇を翻訳・演出したり、ワークショップでイメージや葛藤を言葉に落とし込む台詞術の実践に着手したりと、演劇における「語り」の可能性を一歩一歩追求してきた谷賢一という作家にしかリーチできない領域であるように、思える。今回、噛み合わせられるのは現代風会話×モノローグというだけではない。「アクアリウム」という舞台装置を中心に、もっと異質で多様なテンションを、テキストレベルで、それぞれの張りを保ったまま掛け合わせるという試み……。とりあえず、今こんなことをやろうとするのは谷賢一という作家以外まずいないということは、言えるでしょう。

そして実は、稽古初日の三好十郎の「冒した者」テキスト読みも、ちゃんと意味があったのでした。これもネタバレになるので詳細は略します。ただ、今回、かなり尋常でない「科白」を読まされることになった渡邊亮さん、中林舞さんは、昨日のテキスト読みを踏まえて、苦心しながらも谷演出のオーダーに応えていました。今後の稽古で俳優の方々が台本の言葉にいかに力を与えていくか。見守るのが楽しみです。

次回のレポートにつづく!

【今日の一枚】
人狼ゲーム中、村人二人と人狼一人という最終局面(村人がちゃんと人狼が誰かを見抜いて処刑できれば村人サイドの勝ち)に臨んでいる、中間統彦さん、一色洋平さん、堀奈津美さんの三人。こんなときにも大人びた堀さんの落ち着きに疑心暗鬼を抑えられない一色さん。「俺らは大人の女性の圧力に負けているのかもしれない……」。いや、あなたの隣りにいる好青年が実は人狼ですけど。
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