INTERVIEW – 渡邊亮さん

投稿者: dcpop13aqua

『アクアリウム』出演者インタビューの二番手は、『ボレロ、あるいは明るい未来のためのエチュード』『あの頃の私たちの話』につづいて三度目の谷演出作品参加、フリーで活動中の渡邊亮(わたなべ・りょう)さんです!

────渡邊さんが演劇に関心を持ったのは幼稚園の頃にまでさかのぼるそうですが、それはどういう体験だったのでしょうか?
渡邊 僕には十四齢年上の、「無名塾」に所属している姉がいるんですが、その姉が出ている公演を幼稚園のときに観たのが演劇に触れたはじめてです。それを観て面白いと感じたっていうより、なんかそういう世界があるんだっていうことが、衝撃的だった。演劇作品としてどうのっていうより、女優とか、俳優っていう仕事があるんだっていうことが。ウチの家族のなかでそんな仕事をしているのはその次女の姉だけなんですが、やはりその姉の存在が、自分にとっての芝居を志したきっかけでした。

────でも、はじめのきっかけはかなり早いんですが、別に高校演劇をやってたということもなく、2008年になってようやく俳優の道に入った、という経歴になっています。これは何故でしょう?
渡邊 恥ずかしいと思ってたんです! 芝居恥ずかしいって。しかも、姉から役者としてやっていく努力がいかに大変かと聞いていたので。俳優やりたいという気持はあったんですが、「俺もテレビ出たい」とか軽く言うと本気で怒られるので、だからこそ、やりたいけど、こわい、という気持が先に立ってしまっていた。でも、2008年になってふんぎりがついたっていうのは……要因は色々です。色々ですが、とくにウチの父が亡くなったこと、とか。……そう、父親の葬式で、友人代表の方が長くスピーチをしたときに、四人きょうだいのうちの長女、次女、長男については各々社会のどういう方面で活躍しているとか、こんなに親孝行だったってことをコメントされていったんですが、僕だけ、何も言われなかったんです。それですごい「あー俺何やってんだろう……」と自分を省みて。父親に対し申し訳ないとさえ思って。そういうことがあって、もううだうだ言ってるんじゃなくて、たとえあやふやではあっても、ちゃんと自分のやりたいことに対峙しなければならないと考えて。そこからですね、本格的に俳優になろうとし始めたのは。

────そして2008年からの5年あまりで、鵜山仁さん、船岩祐太さん、小川絵梨子さん、黒澤世莉さん、そして谷賢一さんといった錚々たる顔ぶれの演出の下で舞台に立ってきていますが、たとえば谷さんと縁ができたきっかけは、何だったのでしょう?
渡邊 僕は井上裕朗さんと自身の初舞台でご一緒させてもらったんですが、その縁ですね。はじめは全然舞台のこと分からなかったので、裕朗さんが出る舞台は全部観ようとして。その流れで谷さんの作品に触れて、興味を持ちました。谷さんのワークショップに参加したのも、裕朗さんが勧めてくれたからだったと思います。そして、谷さんのワークショップはすごい自由で面白かった。『欲望という名の電車』のテキストを使って、そのト書きを自分たちで書き換えてしまったらどういう効果があらわれるかという実験をして。たとえば、「椅子に坐る」というト書きを「タケノコを抜く」に変えてしまうと、そこで身体が変わってしまうわけなので、芝居としても全然別のものが生まれてくる。僕にとって、谷さんはそういうふうに演劇において身体の変化から得られるものに注意を促してくれた最初のひとで、それは自分でも、すごいいいな、と思えた学びだったんです。……で、そのワークショップのなかで目をつけてもらって、『ボレロ』に呼んでもらったという経緯です。

────なるほど。では、渡邊さんにとって谷賢一さんというのは、他の演出家の方とくらべてとくにどんな方だと感じていますか?
渡邊 なんでしょう……勝手なイメージですけど、すごいどんどん演劇の可能性を追求されている方だな、と。すごい純粋に。その姿勢は素敵だと思うし、演劇に救われたいなとは僕も思っているので、谷さんが持っている意志や情熱の大きさには、自分も怯んでいられないな、という気持にさせられる。演劇という表現を楽しんでいるひとは他にもいるんですが、なんかほんとに、人生において演劇を必要としている、業のように演劇をやっているというのは、谷さん以外には自分は知らない……。あるいは、年輩の方だとそういうところをもう通過してしまったので見せないだけかもしれないですけど。とにかく、以前から谷さんとはもっと関わりたいと思っていたので、今回、こうしてちゃんと台本があって谷さんの演出の下に舞台に立てるというのは、幸せな機会だと感じています。

────ところで、これは本作とは関係なしに訊くのですが、役者として、渡邊さんのようにフリーでやっていくことと、劇団に所属してやっていくこととは、どのような違いがあるとお考えでしょうか。
渡邊 意識は明らかに違います。あくまで僕からの目線で言うと……フリーの場合、その作品に関わった時間というのは、終わってしまうと、やはり継続はされない。個人個人の課題は継続されると思うんですけど、新しい現場にいくと、そこでの共通認識とか共通の課題ってものはまた別のもの、新しいものになる。でも、一つの劇団という固定した顔ぶれで、一つの作品のなかで或る課題を見出したとしたら、次にまた同じ顔ぶれでやるときには、目的に対するスタートが違うんですよ。もっと掘り下げることができる。役者同士のやり方でもさらに別の可能性を追求できる。それは理想的ではあるのですが……僕はまだ浮気に大海原でただよっている感じがあるので、同じ船で同じ顔ぶれで同じ国に行く、というのは、やっぱり、責任を担えるのかなという不安があります。劇団員として。そう……劇団というものに興味はあるのですが、やるからにはちゃんとやりたいし、そうでなければ周囲にも失礼だと思うし、今はまだその覚悟が固まらないという状況です。……逃げかもしれないですけれど。

────では最後に、このインタビューを読まれるみなさまにメッセージをお願いします。
渡邊 この稽古場レポートでも分かるとおり、一日一日勝負をしている作品ですので、是非みなさんに観ていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。

★渡邊亮さんの『アクアリウム』チケット個人予約ページ(東京公演12月分のみ)
https://ticket.corich.jp/apply/51045/013/
★渡邊亮さんのtwitter
https://twitter.com/tenpariQ
★渡邊亮さんのブログ「渡邊りょう@Blog」
http://ameblo.jp/tenpa-9696/

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