稽古場レポート第七回 – 11月13日•14日

投稿者: dcpop13aqua

『アクアリウム』の稽古場レポート、第七回をお届けします。

13日の水曜日は一挙に脱稿にむけて前進するため谷演出はまた執筆にこもり、全日俳優同士での自主稽古となりました。今ある分の台本の科白を入れていきつつ、少し動きをつけて、演出の目がないだけに、自由に色々試していく読み合わせの稽古が行なわれた。

そして14日の木曜日はうって変わって、新たに書き上げた原稿を持参しての谷演出が稽古場に居合わせ、昼夜、びしびしダメ出ししていく読み合わせの稽古です。ダメ出しというより、台本上のひとつひとつの科白が出てくる根拠を腹に落とすため、この作品が求めている共通の演技の方向性のヴィジョンと、各々の登場人物の核心を役者ひとりひとりが探っていくためのヒントとを、細かく与えていくというふう。たしかに、谷演出の頭の中にあるヴィジョンが完璧に実現されれば、その場の人間関係のグニャッとした感じがグロテスクかつポップに抉り出されつつ、それが物語構造的にも演劇的にも面白い、という作品になりそうです──そういう脚本になっていると思う。けれども、まだその完璧な実現に至るまでの距離も広くあると、現時点の読み合わせでは、感じられもする。

たとえば、谷演出が「一番成立まで遠そう」と言った或る難所のシーンについての、谷演出のコメント。「ここのシーンの、何も起こらない感じを、どこまでクオリティ高められるか。それで随分変わってくると思う。ここがしっかり見えてくると作品全体の企図も見えやすくなるので。なんにも起こっていないのに観るに値する、という空気を作れるかどうか。たぶんブレスが非常に大事になる。どれに笑いで反応して、どれにため息をついて、どれに相槌を打って、ということでかなり空気は変わるだろうから。……」「とはいえ、呼吸と反応でやるところは増やしたいとは思っているけれど、一方ですごい緻密なことができるといいな、とも思っている。ようは、喩えだけど、机に置いてある柿ピーを取って、開けないで戻すみたいな仕種が、うまく利くような、そういうので関係が描き出せるような芝居になればいいとも思っているので、科白はくずさないでください。くずさない方が緻密なことはやりやすいはず」。

と、明らかにきわめて高度なことが役者に要求されているのが、分かるだろうと思います。そして今はまだ、谷演出の要求するクオリティの高さにとまどいつつ、各自の演技観の根っこが異なるのを越えて、座組でこの作品のための共通言語を構築していこうという段階にある。返し稽古における谷演出の幾多の丁寧なダメ出しも、本質においては、おおむね同じことを言っているのだと思います。──テキストが要求している背景、根拠、思考のジグザグをイメージすること。「焦っている」芝居をするのではなく、焦っていない振りをすることでむしろ動揺が出たり、というふうにすること。不安であるからこそポジティヴに振舞おうとしている、普通にやろうとしている、そういう感覚を探すこと。……

今現在上がっている原稿は全体の約三分の二。今月下旬にはワークイン・プログレス(予定)。どうなりますやら。次回のレポートにつづく!

【今日の一枚+α】
こちらは13日の俳優同士での自主稽古のときの写真です。稽古前の立ちながらの円陣でのミーティング。それぞれの張りつめた真剣な表情に注目。弛緩した空気は一切ない。
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そしてもう一枚。14日、ランタイムを計るための通し稽古の最中。通しなので谷演出は止めてコメントするということはしませんが、ときどきこうして前に立って身振りで指示を出していきます。
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