稽古場レポート第九回 – 11月17日

投稿者: dcpop13aqua

『アクアリウム』の稽古場レポート、第九回をお届けします。
(目下『アクアリウム』について耳寄りな情報が公開されていますので、そちらもよろしくです。 →『アクアリウム』情報公開第2段!! http://ow.ly/qTVvC

本日も数頁原稿を書き上げてきた谷演出でしたが、その新たな部分は使わずに(ここから先ラストまでデリケートな部分になるので、書き直す可能性が大いにある)、今日はここまでの原稿からいくつかの部分を取り上げ、読み合わせの返し稽古を行ないました。

谷演出のダメ出しは日に日に細かくなっていきます。昨日までも丁寧なコメントは出ていましたが、今日のはちょっと質と量の水準が違う。「ここの箇所テンポが全体的に早い」「もう少し相手に合わせて突っ込む方法を変えてください」──といった大掴みなダメ出しに代わって、たとえば、一色洋平さんが台本の「それはまぁ」という言葉を「まぁそれは」と覚え違えていたのに対し、「そこは正確にしてください。『まぁそれは』だと『まぁそれは(いいじゃないですか)』というニュアンスになってしまいますが、そうではなくて、『それはまぁ(置いといて)』というつもりで書いているので」というピンポイントでの修整が入る。ようは、台本の言葉ひとつひとつの背後に膨大なニュアンスの想定があって、俳優がそれをなんでもないように口にしてしまった場合、すかさずダメ出しが出るという感じです。逐一。

この「あぁ」という科白は「あぁ(言ってなかったっけ?)」というニュアンスでわざとらしく。「厳しい世界なんだね」これは十歳の女の子が好きな男の子に感心するみたいに。「ばか言うなよ」これには「おまえの方が好きだよ」というニュアンスを込めて。「ごちそうさま?」これはもう十分喋ったでしょ、片付けるよ?という素っ気なさで。「ばーか」これはもっと小難しいこと言おうとしてこの一言しか出てこなかった、というふうに。「しかし部長、三人目も魅力的だ」これは邪悪な武器商人のような感じで。旦那、こっちの商品も良いですぜ、みたいな。……

これら幾多のダメ出しの正解を担保するものは何か。思うにそれは、作家兼演出の谷賢一の頭のなかにある、登場人物ひとりひとりについての直観的なイメージです。ロジックとしては、この人物はこうこうこうだからこういう状況ではこういう空気を出してこういう振舞いをして、この科白の中のこの言葉をこういうふうに喋る、という筋道。

そして、そのイメージを俳優が受肉したとき、俳優がただナチュラルにそこに立っているのではなく、リアルな登場人物として見えてくる。谷演出が稽古の後半に、「なんか歪な感じが見えて面白くなってきたな」とふと言って笑ったとき、確かに東谷英人さんが●●として見えてくる瞬間がありました。今後も、こういった瞬間がどんどん増えていくのだろうと思います。

次回のレポートにつづく。

【今日の一枚】
今回は詳しい説明は無しで。twitterで谷演出も言及したとおり、今作では大原研二さんと一色洋平さんに尋常でない役が振られています。この一枚から、何かしらそのヤバさを感じ取っていただければと存じます。
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