稽古場レポート第十一回 – 11月20日

投稿者: dcpop13aqua

『アクアリウム』の稽古場レポート、第十一回をお届けします。
(目下『アクアリウム』について耳寄りな情報が公開されていますので、そちらもよろしくです。 →『アクアリウム』情報公開第2段!! http://ow.ly/qTVvC

本日は冒頭、谷演出の「ものを並べてみようかな」という言葉から、稽古場(閉校になった学校の教室)の机や椅子を使って仮のセットを組むことからはじまります。配置を色々試し、試していくなかで気づくこともあり、谷演出からやはり指示も出たりして、おおまかな空間の使い方が決まっていく。それから谷演出の「じゃあみなさんなりに始まりの準備をしてみてください」という言葉。というわけで今日から本格的に立ち稽古です。

「台本」が「舞台芸術」になるプロセスには必ず「演出」という契機がかんでくる。立ち稽古になると、その「演出」によって何がどう変わるかが如実に見えて来ます。昨日までの稽古でも、一応(とくに前半部分は役者の方々に科白が入っているので)半ば立ち稽古のような感じではあった。つまり、役者の方が思い思いに芝居をつけて、それに対し谷演出の「ここはこうしようか」というコメントが入ったりし、舞台上での絵面がちゃんと見えて来るような稽古ではあった。しかし、それはあくまで台本に忠実な上での無難な絵面にすぎなかった。そのことが、今日の稽古ではっきりします。

立ち稽古。冒頭から役者に演じさせていきながら、谷演出は、台本では確定していない部分を試行錯誤しつつ決めていく(「東谷ソファーに寝転がってみてくれる」「いっそ亮君上手のソファーにしたら?」「えちご(中間さん)は坐るの禁止で、センター奥に居て」)。それと同時に、谷演出は、台本には無い要素を次々足していって、目の前に現前するものを台本以上のものへとどんどん飛躍させていきます。これが面白すぎる。それは、ちょっとした反応や科白を付け足すのにとどまることもあれば(「……の科白の後に『ん?』って言ってみてくれる?」)、シーンの印象を大幅に変えるような発想の転換の試行であることもある(「このシーン普通すぎるな。どうしたらいいんだろうな。……でやってみようか」)。谷演出は、その場でポンポンアイディアを出して役者に試させていきます。そして、役者の方は最初はとまどいつつも、谷演出の意図を理解すれば、そのベクトルを自分のアイディアでさらに倍加させていく。結果として、台本からだけでは読み取れないはずの、予想外の面白さが目の前で具現化する。

例えば。台本上で次のようなやりとりがあります。
A「遅いな。Cさん。」
B「お前これさ。」
A「はい。」
字面で見ればなんてことない会話ですが、ここにいたるまでに、谷演出がAのキャラクターに一貫して或る要素(主に所作に関して)を加味していって、それをAの役者の方がさらに謎な方向に飛躍させたので、なんかよく分からないけれども、これだけで笑えるやりとりになったりする。読み合わせの時点では絶対に出ていなかった面白さです。このような、「なんかよく分からないけど面白い」という効果は、たしかに、稽古場でじかに演出家と俳優とでアイディアをがしがし突き合わせながらでないと実現できないように思える。アイディアとアイディアの掛け算、つまりそれが「演出」の醍醐味なのだと。

『アクアリウム』、まだ脱稿には至っていませんが、舞台上でどのようにこの作品が現前するのかは、徐々に見えてきています。次回のレポートにつづく!

【今日の一枚】
或るシーンで実現したい雰囲気というものがなかなか作れないので、谷演出が俳優たちにもアイディアを出してほしいと言い出し、ディスカッション中の俳優の方々。ときには相当精密に動きや発語のニュアンスを指定する谷演出ですが、俳優たちにも考えさせ、「演出家と俳優全員の脳みそがまざりあった状態でやりたい」ということも志向しています。
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