INTERVIEW – 大原研二さん

投稿者: dcpop13aqua

つづいての『アクアリウム』出演者インタビューは、DULL-COLORED POP劇団員、演技についての内省の深さと視野の広さ、知的な柔軟性と頼れる実力で座組の士気を鼓舞、大原研二(おおはら・けんじ)さんです!

────劇団員の方へのインタビューは、客演の方とは切り口を変えて、今現在語りたいトピックをそちらから出してもらって、それについて掘りさげるというかたちにしています。大原さんのトピックは、「空間との付き合い方」。これは、当然劇場空間ということですよね。
大原 そうです。たとえば、わりと小さな劇場だとほんとうに劇場の隅々まで見えるし、意識もとどくし、声がどこにどのくらい当たっているかとか、自分が舞台に立っているときのフォーカスの当たり方とか、非常に測りやすい。小さな劇場ならばそうやって感じやすい。でも、どの劇場でもそうとは限らない。場所が変わって、縦に凄い長い劇場とか、横幅がやたら広いとか、たっぱがあって上にすごい抜けてるとか、そういう空間でやるときには、小さな劇場であれば把握していたことが把握しづらくなる瞬間というのが出てくる。その空間をちゃんと自分の存在で満たしてやれるか(もちろんシーンによってそのバランスは変わるわけですが)ということが、劇場が小さければ上手く測れるのに、空間が広くなればなるほど、ちょっと心もとなくなっていく。つまり付き合い方が難しくなっていく。

────それは空間が大きくなれば大きくなるほど、比例的に難しくなっていくものなのでしょうか?
大原 難しくなるような気がしています。自分の直観としても、空間が大きくなればなるほどそれを満たすためには、まだまだ必要なものがありそうだと感じている。それは声だったり、自分がその場に立っている根拠を見出せるかどうかであったり……細かい演技のニュアンスのブラッシュアップ、ということはもう踏まえた上で、ただ単に立っているだけでも広い空間を満たすことができるかどうか。満たすことはできるはずだ、と思います。ただ突っ立っているだけでも。

────自分がその場に立っている根拠を見出す、ということは、脚本の読解レベルの話にも入ってくるような気がしますが。
大原 そうですね……たしかに台本を初見で読んだ、あるいは半立ち稽古という段階では、やっぱり自分の存在がばーっと外に広がっていくっていうだけのエネルギーがまだ出せない。そういう感覚はあります。読解が進めば進むほどやり易くなるということはある。でもその先の問題もあって、たとえば自分にはない声のことだったり、……あとは「表現」ですよね。ちょっとした動きにも深い根拠があって、一つ一つの所作が全部つながって表現として成立していくということが、実際あると思うんですけれど、そういった「雑味がない」状態を達成できるかどうか。

────「雑味がない」?
大原 ようはあまり根拠のないあいまいな動きがない、ということです。つい動いてしまった、ということが極力ない状態。ナチュラルなだけでは駄目だということ。でもそうやって高度な表現を達成して、自分の存在で空間を満たしてやるためには、結局のところ、意識的な努力をしていくしかないと考えています。たとえば木場(勝己)さんと谷さんとの間であったという、「『アーメン』どう言うか論争」みたいな細かい検討の積み重ね。とはいえ、その検討の結果決定した動きや言い回しが重要なのだというより、むしろ、そうした試行錯誤をしつこくやりつづける過程で濃縮されてきたものが、その役者にのっかって、最終的に舞台上で「あ、その人物がいまそこにいる」という存在感が生まれるんだと思う。木場勝己=フロイトがそこに居る、と。だから緻密な努力をやっていくしかない。……でも、台本をどう読解するかということひとつをとっても、これからやり方を自分なりに獲得していかなければならないんだろうという気がします。ともかくそういう意識を持っていれば、技術的な成熟も役者としての価値向上も付随してついてくるんじゃないか、と思っています。

────つまり、大原さんにとっては「空間を満たしてやる」という課題が、ご自身が今後役者として成長していくために設定した、長期的な目的意識としてあるわけですね。
大原 そういう課題を意識していれば、どの方向に進んでいても役者として得るものがあるんじゃないかな、と思います。逆に言うと、そういう予感があるからこそ、自分は空間との付き合い方を気にしているのかもしれない。いかにして空間を自分の存在で満たしてやるかということを。……今作の『アクアリウム』でも、稽古の中でさっき言った「雑味」に近いものをやりながら感じつつ、毎回それを削るということをして、人物としての存在感を出すことを目指しています。が……しかし、今回の役というのが、かなり自分の本来の生理とは真逆なので、もうその時点で或る意味いろいろチャレンジになっています、すでに。

────今回大原さんは大変な役を振られていますものね。では最後に、このインタビューを読まれるみなさまにメッセージをお願いします。
大原 「面白い」作品作ってます。「面白さ」は人によって、驚きとか笑える・泣けるとかライブ感とか、まぁ色々だと思うけど、何かそういうの全部ひっくるめて「楽しかった」って思ってもらえる作品だと思うのです。存分に味わってもらえるよう、腕磨いてお待ちしてます。

★大原研二さんの『アクアリウム』チケット個人予約ページ(東京公演12月分のみ)
https://ticket.corich.jp/apply/51045/005/
★大原研二さんのtwitter
https://twitter.com/oken2dry
★大原研二さんのオフィシャルWEBサイト
http://www.oharakenji.com/

広告