イベントレポート – クリスマスパーティー(12/24)

投稿者: dcpop13aqua

(例によって、舞台セットやシーン内容についての軽いネタバレを含みます)

出演俳優の方々と『アクアリウム』の演技・演出の細部についてアツく語り合う一時間──。たまにはこういうクリスマス・イヴがあってもいいはずだ。

というわけでわたくし、24日は火曜日の18:00〜の回の後に行なわれた『アクアリウム』のクリスマス・イベントに参加してきました。イベントといっても実質的には、お酒を飲みながら出演俳優の方々と歓談するという交流会に近いもので、29日(日)に行なわれる大忘年会の前哨戦という趣き。もちろん大忘年会の方が有料である分、時間も長く、また食べ物なども豪華になるでしょうが……なるはず。いずれにせよ、度々こういう交流の機会が得られることは観客にとっても幸いと思います。

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まずは、誰もサプライズさせないサプライズ衣裳を着て主宰・谷賢一氏が登場。中村梨那さんが着ていたワニの衣裳の上に、中間統彦さんが付けていたクリスマスの小道具やら飾りやらを羽織るだけというやっつけぶり、しかしそうまでしてなんとか普通でない格好をしてみせるという出所不明のサービス精神に、われわれは図らずも感動を覚えます。「宗教なんか関係ねーよ! キリスト教徒も! 仏教徒も! 手をとりあって、仲良く、楽しく、今日ぐらいは平和に過ごそうよ!」という切実な訴えかけの後に、全員がお酒をついだコップを持って、世界平和を祈りつつ乾杯。
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その後はゆるりと観客・俳優・スタッフ入り交じっての歓談タイムに移行。『アクアリウム』上演してすぐ後のことということもあってか、今さっきの上演内容について細かいことを質問しても、みなさん気さくに答えてくださいました。

例えば。複数回観劇された方はすでに気づいているでしょうが、前半にある、てつ(東谷さん)の「じゃあ幹事、何かやれよ。」の前フリから始まってゆうき(中間さん)が立ち往生するというシーンは、公演期間中にも相当変化していっています。東谷さんによれば、以前は東谷さんがその場で中間さんにアドリブでお題を出して(例:「郷ひろみの物真似やれ」)リアルに中間さんを戸惑わせていたのだが、それでも上手く「すべった」感じが出せないということで、数日前からそうやってお題を出すことを止め、代わりにゆうき(中間さん)のリアクションに対し「それ可愛くないから」とてつ(東谷さん)が突っ込みを入れるという形に変えたのだそう。余談ですが第十一回レポート http://bit.ly/1iNqbGb で「実現したい雰囲気というものがなかなか作れな」くて苦労していたというのは、このシーンのことでした。そして、公演期間中もまだまだその試行錯誤はつづいている。そういう興味深い裏話も東谷さんから聞くことができました。

或いは。しんや役の渡邊亮さんからは、しんやに振られている重要なモノローグ、長科白を成立させるためにどのような努力しているかということを伺うことができた。観る者にはどうしたって印象に残らざるを得ない、後半にあるしんやの異様にぐるぐる動揺しながらの長科白──自分が稽古場で見ていたものから一番飛躍していると感じていたのが、これです。その裏には、実は数々の工夫の積み重ねがあった。まずは、しんやが舞台に登場する前の感情を準備するという段階で、意識的な努力がなされている。渡邊さん曰く、その時点ですでに、さまざまなイメージ、例えば●●の●●を●●●●するといった凄惨なイメージをありありと想像することによって、自分の動悸を烈しくし、動揺を鋭くしていくということをやっている。そして舞台に出て後、自分の台詞を喋るときには、当然一つ一つの台詞が出て来る動機をあらかじめ読み込んでおき──例えば「死んだ方がいいと思うこともあります」「でもどうしてもそれは違う気がする」という二つの台詞の間で内的にどのような変化があるか?など──さらにそれを舞台上で自分の視野に入って来るもの(てつやゆかりたちの視線)に対するリアクションで補強しつつ、或いはそのつどイメージをしっかり置きつつ、しかも、そのイメージを毎ステージ毎ステージ変化させつつ(同じイメージに対して毎回同じ感情が沸き起こるとは限らないから)、それでいて!長い長い台詞を貫いているダイナミズムの線は一つに収束していくようにと意識しつつ、ほんとうにまだまだ台本と格闘するつもりで、やっている、との由。25ステージを終えた今もなお、谷演出と渡邊さんとで「しんや」という人物を考えていくという努力はつづいている……。実際にお話を伺うと、これからも(12/26〜12/31の東京公演、その後の福岡・大阪・仙台・岡山公演で)さらに『アクアリウム』という作品が進化していくであろうことを実感できます。

日々自分の役が変化し、細かいところで彫琢されていっているというお話は、他の俳優の方からも伺うことができました。単純にゲスト俳優の違いというだけでなく、もともと演出が緻密な作品なだけに、細部での変化も濃やかに味わうことのできる『アクアリウム』、東京公演は残すところ十指に満たないですが、二度三度のリピート観劇をお勧めいたします。あと、29日の大忘年会は出演俳優のみなさまに作品の裏話も聞ける貴重な機会として、時間に余裕がある方は参加してみると大いに有益だと存じます。(※執筆時は12/25)

では、最後に写真を一枚。この日は実はDULL COLORED-POP劇団員の東谷英人さんの誕生日でもありました。ならば普通にお祝いすればよいところ、あの男がそんな単純なことをするわけがなかった。舞台に東谷さんを上げた上で、「菊池」の格好をした谷演出と「部長」大原さんとで謎の小芝居が始まります。「部長! 大変な情報を手にしました! 今日はクリスマス・イヴであるだけでなく、東谷英人さんの誕生日だったんです!」「よーし! 全員で! ハッピーバースデーを歌ってやる!」可愛げのない菊池……誰も得しない過剰なサービス精神に脱帽です。
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(東谷さん、渡邊さんのお話は筆者が記憶で再構成したもので、およそお二人が語った内容そのままではありません。)

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